働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ストライク・ザ・ブラッド18 真説・ヴァルキュリアの王国

ストライク・ザ・ブラッド18 真説・ヴァルキュリアの王国 (電撃文庫)

《あらすじ》
王女ラ・フォリアからアルディギア王国に招待された古城と雪菜。あまり旅行に乗り気ではなかった古城だが、叶瀬夏音が同行すると聞かされて、渋々と招待に応じることを決める。宮廷内に夏音の存在を快く思わない勢力があり、彼らから夏音を護って欲しいというのが、ラ・フォリアの真の依頼だったのだ。折しもアルディギアでは戦王領域との平和条約締結記念式典が予定されており、条約に反対する勢力によるテロも懸念されていた。そんな中、アルディギアの王宮が謎の怪物に襲撃され、戦王領域を巻きこんだ大規模テロ計画が動き出す。そして古城たちは、否応なくその渦中に巻きこまれていくのだった。

暁古城の行く先々で否応なく騒動の渦中に巻き込まれる一連の流れは明々白々だが、シリーズ初期の頃の『藍羽が古城の正体を知らないまま加勢している』『矢瀬が裏方に徹していて古城を陰で支える』ような関係性から、二人そろってアルディギア王国まで一緒に旅行に行き、古城の陣営としてオープンに協力している光景を見ていると、古参のキャラクターもここまで変わったのかと感慨深くなる。“絃神島から離れる”ことだけで言えば古城と雪菜に関しては簡単に物語の流れに絡めて動かすことはできるけれど、藍羽と矢瀬に関してはひと昔前だったら難しかっただろうな……

それはさておき、アルディギア王国が開催する戦王領域との平和条約締結記念式典と、条約に反対する勢力によるテロ組織の暗躍。“ストライクザブラッド”の世界観において、人間と魔族の間に根付く関係性と政治情勢がスマートに集約されているエピソードで、“人間”と“魔族”に関してのデティールも丁寧に書かれていて、『ストライクザブラッドとはどんな物語であるか』という点を改めて再認識して学べる内容でした。

これだけの長期シリーズでありながらも、ひとりの読者として断言できるのは「全く中だるみを感じることなく、惰性で読むということもなく、長く愛好できる作品である」ということ。世界最強の吸血鬼である暁古城であっても、第四神祖の絶大な破壊力を秘めた眷獣が周囲の環境の如何によって下手に発することができない枷が上手い具合に作用して、『世界最強の主人公だけど条件がそろえば敵勢力と戦力が拮抗』する環境が整う。それが、白熱したバトルを生み出しつつ適度な緊迫感のある展開を演出して楽しむことができる一因にもなっている。

そして、物語の合間に雪菜やラフォリアなどのヒロインたちと適度にラブコメを混ぜつつ、『ラフォリアと婚姻』などで外堀を埋めていく爆弾を仕込んで今後の修羅場の起爆剤にしていたり、楽しめる展開が多数配置されているので飽きることがない。