働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

精霊幻想記 9.月下の勇者

精霊幻想記 9.月下の勇者 (HJ文庫)

《あらすじ》
転生者であることを打ち明けてくれたリーゼロッテの協力の下、夜会の前に皇沙月との謁見機会を得たリオと美春。準備を整え、夜会の開催地である王都ガルトゥークへ赴いたリオたちは、遂に捜し求めていた沙月との邂逅を果たす。再会を心の底から喜び合う美春と沙月に対して、リオは今後の行動方針について話を切り出すが―「私は…ハルトさんと一緒にいたいなと思っています」様々な想いが交錯する“夜会編”、ここに開幕!!

異世界に召喚された勇者たちとの邂逅を果たし、ハルトが自らの正体を美春に明かす決心をするというシリーズファン待望の展開。
セリア先生の結婚式では花嫁をさらい、幼なじみの美春を奴隷商人の魔の手から救い、その他にも気がつけば数多くのヒロインから好意を寄せられる天然ジゴロ。
膨大なページ数を割いてひとりひとりのヒロインとハルトの何気ない日常でのやり取りから、恋心に移り変わるに至るエピソードが丁寧に作られているので深く感情移入してしまいます。自分は常日頃、「セリア先生はあれだけドラマチックに救われたらリオ以外の男性と結ばれる未来は見えない」「もしリオがセリア先生以外を選んだら生涯独身を貫きそう」……などとよからぬことを思い描いてしまうのだけど、これはもう魅力的なヒロインが多すぎて落としどころがわからなくなってきました。

9巻にして、いよいよ日本から異世界に召喚された勇者たちの全貌が明らかになり続々と新キャラクターも登場し、さらなる盛り上がりを見せてきた本作品。やはり注目すべきは、ハルトと美春の異世界での関係を目の当たりにしたもう一人の勇者が抱いた嫉妬心をチラつかせたシーン。これはシリーズ1巻でハルトが目撃した光景にもつながるのかな(だいぶうろ覚え)。
正直に言うと、これがネトリ属性かとひとりで爆笑してましたw
思い返せばセリア先生をはじめ、純粋な恋愛感情を演出した清涼感のあるドラマチックな展開は目にしてきたけど、ここにきてえぐみのあるドロドロな感情が渦巻く展開に突入するフラグが立つとは想像だにしなかった。
フラグを回収するにしろしないにしろ、一度芽生えた感情は何かしらでケリを付けなければ清算されるはずはないので、是非ともハルトと美春の関係を一歩前進させる踏み台に使ってほしい所存です。