働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ポンコツ勇者の下剋上

ポンコツ勇者の下剋上 (MF文庫J)

《あらすじ》
王立士官学校の卒業を間近に控えたクロウ。ある日彼は、選ばれし勇者にしか扱えない神剣―聖光剣エクスキャリバーの声を聞いてしまう!声の主である聖光剣の精霊・ホリーが言うには、世界を滅ぼす魔王が復活するため、一刻も早く勇者を探して聖光剣を渡さないといけないらしい。クロウは、剣を勇者に届けるというお手軽なお使いだけで世界を救う立役者になれるならと快諾し、勇者を探す旅に出た。ところが問題児のクロウと、性格がハチャメチャなホリーの2人で旅は前途多難!さらに見つけた勇者は、なんと奴隷の幼女で―!?一体どうやって連れて帰ろう…?“あの子の主を、私を使ってぶった切れば良いんじゃないですか?”「良くねえよ!」

魔王×勇者を題材にした王道路線のファンタジーにアレンジを加え、平凡な士官学校の生徒を主人公にして神剣に選ばれた勇者を探すために旅に出る笑いあり涙ありの作品。神剣“聖光剣エクスキャリバー”に宿る精霊の声を勇者以外で唯一存在を認識することのできる主人公の特別な能力を、様式美だけの設定として腐らせることなく勇者を探すための旅路で余すことなく活用していく展開には度肝を抜きました。
何故ならば『主人公と聖光剣に選ばれた勇者にしか存在を認識できない』とは、いうなれば人に知られることなくいろんなことができるということ。それが、日銭を稼ぐために立ち寄った賭場でタネも仕掛けも全く見破れないイカサマを仕掛けようとも、潜入予定の屋敷の警備体制を丸裸にしようとも、幅広い活用方法があるわけです。
そこに目を付けて、序盤から漂う使い古された王道なファンタジー作品から一歩抜け出したコミカルな展開に持っていく発想が面白かった。
新人のデビュー作ということで手に取ってみましたが、人並ではあるけれど十分に楽しめる作品でした。