《あらすじ》
相生初に続き、第15回新人賞受賞者たちの作品が続々と刊行された。那由多に憧れる笠松青菜もどうにかデビューを果たすのだが、待っていたのは酷評の嵐だった。伊月はそんな彼女の姿に自分のデビュー当時のことを思い出し、励ましの言葉をかける。一方、いよいよ放送が近づいてきた『妹のすべて』のアニメ制作ではさらなるトラブルが相次ぎ、京はいよいよ就職活動が始まり、千尋の前にもお掃除ロボットではなくちゃんと人間のライバルが登場する。大人気青春ラブコメ群像劇、妹がいっぱいの第9弾登場!!
昨今ではSNSでの情報発信が活発になっているため、新人賞受賞者の作品が酷評の嵐になるケースや、輝かしくデビューして大変に手ごたえのある素晴らしい作品(※個人の感想です)なのに1巻打ち切りにあうケースであったり。ライトノベル業界の実情や読者の声を目にしているユーザーにとっては非常に思い当たる節があるシーンが多数あり、心中穏やかではいられない内容でした。
無事にアニメ化作家の仲間入りを果たし、アニメの脚本にまで携わっている羽島伊月のもとに『デビュー作で苦しむ新人作家』や『アニメ業界の過酷な現状』といった様々な案件が飛び込んでくることで、クリエイター業界の奥深さ(≒闇)が鮮明に映りこんでくる。
クリエイターの生きる世界とは程遠い読者にとっては見る者の全てが新鮮で、作中での伊月たちのやり取りの面白さとは別腹で興味深さや知的好奇心のようなものも刺激されました。平たく言えば、メッチャ面白かったです。
クライマックスにはある人物の一言で今後の人間関係や展開を大きくゆるがす事態に発展しそうな形で幕を閉じていただけに、次巻がどんな物語になるのかがとても楽しみです。
妹さえいればいい。 9【Kindle限定 電子特典付】 (ガガガ文庫)
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