《あらすじ》
ラノベ編集者の賀内亮二には、絶望的なくらい仲が悪い妹・涼風がいる。昔は「お兄ちゃんに初めてをあげるね?」なんて危ない約束をするほど可愛かったというのに、今では「お兄ちゃん」とすら呼んでくれない。けど、編集者の仕事は妹を忘れさせてくれるほど容赦無い。そう、アニメ化もした人気作のイラストレーターが病気で降板してしまった今なら特に!必死で後任を探すがなかなか見つからず、そんなある日、賀内は大人気エロゲのイラストに一目惚れし、その原画家に仕事の依頼をする―が、打ち合わせの場に現れたイラストレーターは、未成年で妹の涼風だった!?世界一仲が悪い兄と妹を巡るライトノベル×ラブコメ、ここに開幕!
人気ライトノベルのイラストレーターの代役に抜擢され、処女作がエロゲの原画家でカラーイラストメインだったがゆえにライトノベルのイラストの構成に悪戦苦闘する姿や、イラストレーターならではの苦労や葛藤が生々しくかつ丁寧に描かれていてとても素晴らしい作品でした。
これまでにもライトノベル業界を描いた作品は数多く読んできたけれど、イラストレーターに焦点を当ててかつ『超人気作のイラストレーターの交代』という近年でも稀にみる大惨事を物語に組み込んでくるとは。同レーベルで言うと『精霊使いの剣舞』なんかは最初は“桜はんぺん”さんが担当され、アニメ放送後の刊行からしばらくして『盟約のリヴァイアサン』のイラストを担当していた“仁村有志”さんにバトンタッチし、さらにそこから今度は『星刻の竜騎士』のイラストを担当していた“〆鯖コハダ”さんに交代という経緯をたどったライトノベルもあります。
イラストレーター交代の原因や後任になった方も現実として多くの葛藤があったことは言うまでもないけれど、現実に起きていることとしてとらえると作中の出来事がいかに深刻な状況であるかがひしひしと伝わってきて、よりリアリティが感じられる。
ラブコメパートに関しては、兄に対してツンの要素しか見せない妹がふとした拍子に見せるデレの要素のギャップに凄く癒されたり。未成年でR18指定のエロゲーの原画を担当した妹の目の前で“参考資料”と称してプレイする兄貴の所業が鬼畜過ぎて、羞恥心からブチ切れる妹の心境がどれだけのものか手に取るようにわかる。もっとも“参考資料”と称して素で妹の前でエロゲーをプレイしていた兄貴は気がついていない模様。
そんな感じで、『クリエイターたちの地獄の日々』を描きつつ、ラノベ編集者の兄とイラストレーターの妹の仲が悪くなるきっかけとなった過去とそれを乗り越えるまでのドラマをラブコメ風味で楽しめる作品でした。
イラストを担当されているHitenさんは、個人的に最近注目しているイラストレーターでもあるので、あの独特の色使いが妙に自分のなかにハマるので印象的です。特にどの作品も黒髪キャラがドストライクです。これからもイラストレーターとしての活躍に期待しています。
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