《あらすじ》
瀬川エリカと俺、吾妻千里は小学校3年生からの幼馴染みだ。小学校でも中学でも、そして高校でも、瀬川と俺は、公園で遊ぶ。ダベったり、野球をしたり、走り回ったり、ちょっと喧嘩したり。「とりあえず吾妻の中で、わたしを可愛さピラミッドの頂点に設定するといいよ。そうすればわたしを通して“可愛い”がわかる」「瀬川を可愛さピラミッドの頂点に設定すると、具体的にどうなるんだ?」「わたしに似てれば似てるものほど、吾妻は可愛いと認識しだすよ」「じゃあ、電卓とかも可愛く見えんのかな」「ちょっと待って。吾妻の中でわたし、電卓なわけ?」そして今日も公園で、高校生の何気ない日常が紡ぎ出される―。
公園で高校生たちが遊ぶだけ……、タイトルそのまんまでした!!
そうそう、小中高と学校に通って、放課後になると部活に励むもよし友達と一緒に遊びに行くもよし。社会人になると同年代の知り合いと予定を合わせるのに相手の都合を考える必要があるけど、子供の頃は「これから遊びに行こうぜ!!」みたいなノリで、いろいろなことができたなとしみじみ思いました。
公園で高校生たちが遊ぶだけという作品が妙に好みに刺さったのも、主人公の吾妻千里が公園でだべったり野球をしたりする光景が懐かしい記憶を呼び起こしてくれたのが原因かもしれないです。もっとも、瀬川エリカのような幼馴染みの女の子は自分にはいませんでしたけど……。統計的にみて幼馴染みで仲のいい女の子がいる男子高校生の確率ってどれくらいなんでしょうか?
作品の話に戻ります。
登場人物たちはわりと多めで学園コメディ風。各話ごとにキレよくオチがつけられているため、読み切ったときの読後感はとてもスッキリしたものです。それでいて、何気ない高校生たちの日常に少々ミステリアスな出来事を織り交ぜて読み手にも考えさせるような謎の解明に勤しませたり、ごくありふれた恋愛感情の行く末を描いた青春チックな内容となったり。とてもジャンルの幅の広い作品だと思いますけど、突き詰めていけばコメディ路線が最も近い印象です。