働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?5 鋼の墓所

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?5 鋼の墓所 (MF文庫J)

《あらすじ》
英雄シドの剣と武技を継承し「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイ。切除器官を取り込み、他を圧倒する幻獣族の英雄ラースイーエによる世界輪廻の再現をギリギリで阻止。だが、彼らを待ち受けていたのはウルザ連邦への瞬間転移、そして正史にも存在しない第六の種族・機鋼種との遭遇だった。新たなる事態に直面したカイたちが、再びラースイーエの企みを止めるべく休む間もなく作戦を開始。そんな彼らに接触してきたのは、悪魔族の次席ハインマリル。幻獣族の暴走を止めるべく他種族が集結していくなか、少年の知る正史とはまた別の、世界の真実が迫っていた。

昨年のこのラノで投票した際はファンタジア文庫の『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』よりもこちらの作品を全力で推薦させていただきました。出版不況が囁かれるなか、正史とは異なる、五種族大戦で人類が敗北を喫した世界で真実に迫っていくという壮大なスケールで始まるこの物語に惹かれて読み始めました。第5巻にも差し掛かると五種族の主だった英雄たちとの接触の機会も得られ、徐々に明らかになる世界の真相の断片が繋がっていき驚愕を味わうたびにドンドン作品の世界に引き込まれていきます。
さらには第六の種族で人類にとってさらなる未知の強敵が立ちはだかったり、この世界のシドたちから語られる意味深な発言の数々。長編ファンタジー作品で毎回伏線を散りばめていますが、真相が気になって仕方がないです。

人類がまだ多種族の脅威にさらされ小さな影となりひっそりと暮らしていた時は、カイの正史での知識と経験を基礎とした戦闘技術とリンネの謎に包まれる力をもってしても、人類サイドの絶望感と多種族との力の差は歴然であり、それをまざまざと痛感させられる世界観が素晴らしかったです。現在のカイのもとにはリンネを含めエルフ巫女のレーレーンや精霊族の英雄である六元鏡光が行動を共にしていますが、それでも幻獣族の英雄ラースイーエや機鋼種の脅威度の高さは桁外れ。世界観を創り上げている土台がしっかりしているので、絶え間なく命の危機にさらされている雰囲気があって良いです。

第6巻の発売が待ち遠しいです。