働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動―

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)

《あらすじ》
対吸血鬼戦闘用絡繰騎士“白檀式”―ヘルヴァイツ公国が誇る天才技師・白檀博士の“五姉弟”は、欧州を吸血鬼軍の侵略から救う英雄となる…はずだった。十年ぶりに目覚めた“失敗作”、第陸号・水無月は想定外の戦後を前に愕然とする。起こるはずのない暴走事故により、“虐殺オートマタ”として歴史に名を刻んだ五体の姉兄たち。さらに大公と吸血鬼王による突然の和平を経て、公国は人間と吸血鬼が平等に暮らす世界で唯一の共和国へと変貌を遂げていた。亡き博士の娘・カノン、吸血鬼王女・リタとの出会いを通じ、新たな“日常”を受け入れていく水無月だったが―。第25回電撃小説大賞・銀賞受賞・オートマタの少年と二人の姫が織りなす、正義と反抗のバトル・ファンタジー起動!!

dengekibunko.jp


人間と吸血鬼が平等に暮らす世界で目覚めた対吸血鬼戦闘用オートマタ“水無月”。亡き白檀博士の娘“カノン”と平和になった世界で日常を過ごしていくうちに、オートマタとして“失敗作”の烙印を押された水無月が真相にたどり着き、オートマタとして新たな日常を受け入れ変わりゆく結末が感動的。

多くの汎用型のオートマタたちは公共機関などで粛々と命令通りに行動し無機質で決まった文言しか発さない存在であるなかで、白檀博士が開発したオートマタの水無月は人間と区別のつかない会話能力と自立した思考能力を有しています。しかしながら、世間では“虐殺オートマタ”として認識されている白檀式のオートマタ。公式では五体しか存在しない第六体目のオートマタ。その存在が露見すれば即刻殺処分レベル。そんな水無月がカノンと共にごく普通の学校に通い授業を受けている光景が、いつバレるかわからない危険な状況を精一杯楽しもうとしている風に感じられてほっこりしました。
ーー水無月くんはオートマタなので教科書に書かれている文言を一字一句暗記するという超ハイスペック性能を披露して、教師から呆れられるというマヌケな一面も萌えポイント。食べ物の味もわからないです。そもそも食べ物がわからなくて貝類は殻ごと食いつくしてます。天然属性が入っていて癒されますね。

人間と吸血鬼が平和に暮らす世界へと変わりゆく未来。変化を受け入れない集団の暗躍と吸血鬼王女・リタとの出会いがきっかけで大きく変わる水無月とカノンの日常。吸血鬼の異能と戦闘用オートマタのハイスケールなバトルも目が離せない素晴らしい作品でした。
個人的にはラストのカノンとリタが一緒に映ったイラストがとても素晴らしいクオリティーでした。その構図に行きつくまでの展開も踏まえて最初のイラストと比較してみるとまた違った趣がありますね。控えめにいって最高でした。
あっ、2巻の発売予定は決まっているらしいのでよろしくお願いします。