働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

リベリオ・マキナ2 ―《白檀式》文月の嫉妬心―

リベリオ・マキナ2 ―《白檀式》文月の嫉妬心― (電撃文庫)

《あらすじ》
ヴァンパイア革命軍による虐殺テロ騒動から三週間―水無月の活躍で共和国に平穏が戻ったかに思われたが、カノンやリタの期待に反し、国内では吸血鬼に対する排斥運動が急速に拡大していた。両種族の決裂を防ぐため、そして白檀博士の無実の罪を晴らすため、先の睦月との戦闘で明らかになった“(白檀式)の人工頭脳”に組み込まれた“吸血鬼の脳”の真相を探る水無月たち。ところがそんな彼らの元に突如、世界最大のオートマタメーカーCEOが現れて…。カノンの宣戦布告と共に、吸血鬼王女と絡繰騎士の最強タッグが動き出す、正義と反抗のバトル・ファンタジー第2巻!!

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対吸血鬼戦闘用オートマタ“白檀式”水無月 VS 世界最大のオートマタメーカー。
白檀式のコンセプトと相反する開発理念により製作されたオートマタの到達点と製作者の想いがぶつかり合い、熱い議論とオートマタの神秘を突き詰めた展開が魅力的でした。

白檀式によって誕生した水無月が個としての意志をもって行動を決定することで人間とほとんど遜色のない生活を送り、そんな水無月を引き連れて共に生活をするカノンとの平穏なやり取りにはとても和みます。
もっとも、人間らしいオートマタが機械的にコミュニケーションをとるせいで、カノンやリタの繊細な乙女心を逆なでする光景が、天然の鈍感系主人公を装っていてある意味で奇跡的な主人公だと思います。人間の言語的コミュニケーションはスムーズに取れても、本音と建て前や言葉のニュアンスを読み解く非言語的コミュニケーションは壊滅的だから起きた事故です。口絵のワンカットを含め、今作でも随所に水無月の無神経な言動に翻弄されるカノンたちの光景が収められていて、彼女たちの感情が激しく揺さぶられたときのリアクションがツボです。

吸血鬼排斥運動が急速に活発化をはじめ、水無月たちの周囲の環境も容赦なく動き出すなか、果たして今後の行く末は?
白檀の性を秘匿して生活をするカノン、自らがオートマタである事実を秘匿する水無月。彼女たちの正体が明るみに出たときどうなるのか。新刊がとても楽しみです。