《あらすじ》
相手の行動から魔法の構造まで、全てを見抜く最強の鑑定スキル“神眼”。それは誘拐された魔導大国の元王子シオンが、失踪した幼なじみと瓜二つの少女リィエルと出逢ったことで発現した。「私には生きる理由がない」「そんなのは一緒に探せばいい!」“神眼”の力で監禁されていた研究施設を瞬殺したシオンはリィエルと共に外へ脱出。しかし外の世界は、何かが以前と変わってしまっていて―?立場を失った元王子・シオンと出来損ないの天使・リィエル。二人は真実を見抜く「神眼」で歪んだ世界を救う英雄になれるのか?
突如失踪した婚約者のモニカと瓜二つの少女リイエル。過去の記憶もなく、研究施設で実験体として扱われていたところをシオンが偶然救うことで動き出す二人の物語。
研究施設に長年囚われていたリィエルの純粋無垢な性格と一般常識が欠如している言動が、たとえ彼女に記憶は無くともかつて好意を抱いていた婚約者を思い起こすゆえにシオンのドキッと展開に繋がっているところにハマってしまいます。
シオンやリィエルの周りで起こる日常の何気ない光景にページ数が割かれているため、リィエルに人間味を感じさせる展開がかなり描かれており、ドンドンとキャラクターに感情移入してしまう魅力のようなものがありました。
二人が研究施設を脱出してからの行動指針は『シオンが失踪してから数年たった王都の状況』を確認するためのものだったけれど、本筋からそれてラブコメってる展開もそれはそれで癒されます。
シオンが覚醒したスキルも研究施設での戦いでは絶大な力を発揮した武器にもなりましたが、リィエルとの日常のなかでも物の価値を見抜く眼として活用することで日銭を稼いだりと応用の幅がとても広くて、今後も二人の旅路を彩る活躍を魅せてくれそう。
同作者の『精霊幻想記』シリーズが好みの読者に刺さるであろうキャラクターごとの背景や人間ドラマを丁寧に描いた物語が魅力的な作品でした。
個人的にも精霊幻想記シリーズはとても好きな作品なので、この作品の2巻が刊行されることを祈るばかりです。
興味がある人は是非読んでみてください!