《あらすじ》
16歳にして三ツ星レストランで腕を振るう俺・霜月明人。ある日、副料理長が独立することになり、その後任につくための条件としてオーナーに提示されたのは、1か月間住み込みでオーナーの娘に料理をふるまうことだった。なんと、その相手は容姿端麗で、(俺以外には)社交的で優しいクラスメイトの姫野結奈だった!姫野は料理を出す前からクビを宣告してきたが、いざ一口食べさせてみると…。「っ美味しい―。けど、あんたのことは認めないんだから!!」頑なに明人を認めようとしない結奈だが、絶品料理の数々に強気な態度だってとろけちゃう!?新食感ラブコメ開幕!!第5回カクヨムWeb小説コンテスト“ラブコメ部門”特別賞受賞!
高校生ながらにして三ツ星レストランで1人の料理人としての腕をふるい、料理人としての道を邁進していた主人公にやってきた住み込み料理人の依頼。副料理長への昇進を報酬に始まったクラスメイトのお嬢様との共同生活を通じて、これまで料理の技術のみをひたすらに厨房で磨き続けていた明人のなかに新たな風を吹き込むことで、一見厨房から離れて無駄に思える日々のなかで人間として、そして料理人として新たなステージへと一歩踏み出す。そんな主人公の成長と、お嬢様との高校生らしいラブコメを描いた物語でした。
主人公のステータスが既に『プロの料理人』として確立していることもあり、料理に関連する作中での描写も『家庭でそれなりに料理が振る舞える系主人公』をワンランク上回っていることが明らかなレベルで書き込まれていました。それが逆に『この主人公の技術は本物なんだな』と印象付けさせてくれました。他の作品に比べても突出して深掘りされているのは明らかだと思います。
そして、明人が高校生らしい生活を犠牲にしてでも料理へ情熱をささげることはたしかに一流の料理人としての成長へとつながっていましたけれど、彼の上司にあたる大人たちは彼の才能を高く評価する一方で料理人として厨房で働いているだけでは得られない体験を彼に与えてくれる。はじめは住み込み料理人としての仕事に戸惑いを覚えつつそつなくこなしていた明人も、1日が過ぎ、1週間が過ぎ、やがて1か月の終わりが近づくにつれて彼のなかにある価値観や考え方が変わっていき、お嬢様との生活のなかでの体験を機に成長していくドラマがあってラブコメのなかに深味があってとても素晴らしい作品だったと思います。
カクヨムWeb小説コンテストラブコメ部門特別賞受賞作。とても素晴らしい作品だったので興味のある人は是非読んでみてください。