働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

恋人代行をはじめた俺、なぜか美少女の指名依頼が入ってくる

恋人代行をはじめた俺、なぜか美少女の指名依頼が入ってくる (角川スニーカー文庫)

《あらすじ》
高時給アルバイトを探している金欠大学生の斯波龍馬と、周囲には「恋愛に興味ない」と公言しつつも彼氏がほしい柏木姫乃。同じ時期にお互いの友人から「恋人代行」の話を聞いた二人は、すぐに登録し、たまたまデートの約束をすることに。当日、初顔合わせをした二人は緊張しつつも、手を繋いだりタピオカを飲んだり、と恋人のような甘い時間を過ごす。そんな中、姫乃の友達に見つかり気まずい状況に。姫乃が説明に困っていると、龍馬が「付き合っている」と嘘をついてくれる。本物の彼氏として振る舞う龍馬に姫乃は胸の高鳴りを覚えて…。レンタル関係から始まるリアルラブストーリー、開幕です。第5回カクヨムWeb小説コンテスト特別賞(ラブコメ部門)受賞

f:id:murabito1104:20201231235903p:plain

“恋人代行”として依頼者を満足させるために誠心誠意、真摯に振る舞うなかで、本当の恋人のような夢のひと時を満喫する時間が続きいつしか本当の恋心を抱くようになる。
あくまで根幹には“お金を得るための仕事としての付き合い”が脳裏にチラつくために、主人公である斯波龍馬がどれだけ彼氏らしくしても越えてはいけないラインをわきまえた距離感での接し方をキープしているので、依頼者である姫乃の淡い恋心が届かないもどかしさに切なさを感じてしまいます。
そして、『仕事を通じてでしか接することができない』という部分が恋人代行というフィルターがなければ巡り合うことができない。姫乃のなかにある恋心が徐々に強くなっていく姿がとにかく健気で、龍馬に会うことでドンドン好きになっていく一方で会えない期間が次のデートへの期待に胸が膨らむ。そんな二人の『恋人代行』を通じての甘い日々と距離感に悶々とさせられるラブストーリーが最高に良かったです。

しかしながら、姫乃が“恋人代行”として龍馬に想いを募らせる一方で、龍馬がアルバイト先で出会った女子高校生・愛羅との日々も甘くてときには切なさを感じさせるドラマのあるストーリーが展開されていきます。今はまだ姫乃と愛羅の日常が交差する展開もなく、二人はお互いの存在を認識していない状況にはなっていますけれど、同じ地で暮らしている龍馬・姫乃・愛羅がいつの日か出会うこととなり、三人の関係がどのようなものになるのか。
12月に刊行されたラブコメ作品のなかで最も展開が気になる今イチオシの作品です。興味のある人は是非読んでみてください。

bookwalker.jp