働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか?

飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか? (角川スニーカー文庫)

《あらすじ》
特待生の学費免除を維持するため勉強とアルバイトだけをして高校生活を過ごしてきた結城祐介はある日、猛烈に彼女が欲しくなってしまった。
そんな思いつきから寂しさがこみ上げた帰宅途中、ふと空を見上げると廃ビルの屋上から身投げしようとしている少女を見つける。
「なんでこんな事してんだよ!」「私は…生きてる意味……無いですから……」「待て。美少女が死ぬのはもったいない」「……?」「死ぬくらいならさ、俺の彼女になってくれ」「えぇっ?」
こうして奇妙な出会いからはじまった謎の少女・初白小鳥との新たな日常と恋物語がはじまる。

[スニーカー文庫公式サイト]ザ・スニーカーWEB

放課後は生活費を稼ぐためアルバイトに明け暮れ、学費免除を維持するために勉学に勤しむ毎日。これまで恋愛に全く興味を示さなかった結城祐介がふと彼女が欲しいと思っていた矢先に、飛び降り自殺をしようとしている少女・初白小鳥と出会うことで起伏の無かった彼の平凡な日常が変わる青春物語といった感じの作品でした。

小鳥が自ら命を絶とうとするまでに追い詰められていた背景については彼女の言動や性格的な側面からうかがわせるような部分も多く、何気ないしぐさに自然と滲み出ているところに、幼少期から形成されて歪んでしまった内面的な部分を感じられ、その後の物語としての山場にかけて小鳥のかかえる事情の深刻さや緊迫感にインパクトがあり、物語全体を通して非常に高い完成度と感情を揺さぶられる素晴らしい作品だったと思います。

しいて言うのであれば「死ぬくらいなら、俺の彼女になってくれ」という人間性、倫理観の欠片もない主人公の言動がとてつもなく浮いてる気がする点ではあるけれど、彼が小鳥に積極的にかかわってくれたおかげで、小鳥の人生を大きく変えるきっかけになってくれたのだからプラスマイナスゼロになるのかな……

祐介と小鳥の深まった関係が2巻ではどう描いていくのかとても楽しみな作品です。


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