《あらすじ》
【王位戦争】――次代の国王の座を王の子たちが奪い合うロイヤルゲーム。
傑物ぞろいの王族が通うロアノーク王立学園に足を踏み入れたのは、奴隷の少女・イヴ。現王と奴隷の間に生まれ、このゲームに巻き込まれた頭脳明晰な才女。そして、彼女を補佐する少年・カイは、国益のために傀儡政権の樹立を狙う敵国のスパイだった。
人間の本質をさらけ出す数々の頭脳戦。候補者同士が《騙し》《謀り》《裏切り》《潰し合う》、このゼロサムゲームの先に待ち受ける揺るぎない真実とは――?
女王になれなければ無惨な死と嘲笑を運命づけられた少女と、彼女を利用しようとするスパイの少年――奇妙な共謀関係にある二人による、命を賭した国奪りゲームが始まる。
奴隷王女と12人の王子王女たちによる王位を争う頭脳戦。
候補者たちで同盟を結び共闘するもよし、相手を騙して罠にはめるもよし。
【王位戦争】を行うにあたり定められたルールの範囲内であれば何をしてもよい一方で、ルールに明言されていなければ抜け道があるということ。
【王位戦争】がスタートした時点で既に有力候補たちは強大な戦力を有するなか、いかにして勝ちにいくか。
奴隷の立場から【王位戦争】の舞台に挑む少女・イヴの戦いにかける執念と徹底的に候補者たちを分析し尽くして完封勝利をもぎ取るスタンスが綺麗に決まったときのカタルシスがハマります。
“勝負は戦いの前に既に蹴りが付いている”
正に頭脳戦を描いた作品における強者ムーブを体現しているイヴの読みの深さには脱帽させられました。
ただ、王位を競い合う候補者たちの戦いという舞台設定も頭脳戦の様相も良かったんですけれど、強いて言えばもう少し読み手側にじっくり考えさせる余韻が欲しかったというのが正直なところですかね。1から10まで丁寧に解答速報級のスピード感で説明してくれるのはいいんですけれど、淡々とした進行に感じる部分もあったのでメリハリがもう少しほしかったです。