《あらすじ》
憧れのヒロインに振り回される――それが俺の青春。
全校生徒が憧れるパーフェクトヒロイン・夏木瀬律花。容姿端麗&成績優秀な女子生徒会長の彼女に憧れを抱くモブ後輩・有馬冬季は、偶然にも律花の恋愛相談に乗ることになり……!?
「あたし……はじめてなんだ。男の子、家にあげるの」「!?」
作戦会議のために律花の部屋で話し込んだり、練習としてふたりでデートをしたり――
憧れの先輩に振り回されるふたりきりの時間に、冬季の冴えない日常はドキドキの連続へと一変。
『俺の気持ちは“憧れ”であって“恋心”じゃない……はず』
――その一方、律花も自身の感情の正体に気付き始めて……?
思春期の中で刻一刻と揺れ動く、ふたりの《想い》の物語。
俺の気も知らないで憧れの先輩が恋愛相談してくる | 特設ページ | ファンタジア文庫
『俺の気も知らないで憧れの先輩が恋愛相談してくる』
タイトルを見たときは「恋愛相談を受けていくうちにヒロインと両想いになるのかな……？」「よくあるタイプの青春ラブコメ作品」と思っていました。
しかしまさか、（憧れ？ それとも恋心？ ）主人公が夏木瀬律花へ抱く想い。（憧れ？ それとも恋心？ ）夏木瀬律花が“相手“へ抱く想い。そんな三角関係が本当に構築されていて、主人公が好意を抱いている想い人のガチ恋愛相談を受けているハメになるなんて……。
ひょんなことから恋愛相談に乗ることになった主人公も憧れている律花からの『唯一』の相談相手というポジションに特別なものを感じてドキドキする一方、その律花の感情が別の人間に向いている事実に気が付かされるたび虚無感に襲われてしまう。
律花の相談に真摯に受け答えする感情、律花の恋愛が失敗する未来を少なからず願ってしまう感情。ごく普通の男子高校生のごく普通の思春期のなかで揺れ動く恋愛事情が「ここまで残酷なのか！！」と思えるくらい克明に描かれていて、とにかく切なかったです。
もちろん読後感は決して良かったとは言えませんでしたけれど、ごく普通の男子高校生と憧れのヒロインとの恋模様の結末が純粋に気になる作品でした。
