働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

俺にトラウマを与えた女子達がチラチラ見てくるけど、残念ですが手遅れです 1

《あらすじ》
このラブコメ、みんな手遅れ。
俺、九重雪兎は女運が悪い。
昔から何かとトラブルに巻き込まれ、母親には疎まれ、姉には嫌われ、両想いだと思っていた幼馴染には告白前にフラれ、傷心中に嘘告される始末。
すっかり感情がぶっ壊れて色々と手遅れなんだけど――
「私が悪いの……全部私が――」
「ごめんなさいユキ! アレはそんなじゃなくて――」
何故か俺にトラウマを与えた女性達がチラチラこっちを見てる気がする……。
これは傷つきすぎて好意を受け止められなくなった少年と、そんな彼を傷つけてしまった女性達による、手遅れから始まる全く始まらない勘違いラブコメディ!


母親からの愛情を受けられず、大好きだった姉には殺されかけ、両想いだと思っていた幼馴染みには彼氏がいて、同じバスケ部の女子からは嘘の告白をされ……
勘違いによって植え付けられたトラウマが全て手遅れとなり、主人公・九重雪兎のなかの大切な何かを少しずつ失っていった末にたどり着いた青春を描いたラブコメ作品といった感じの作品でした。

“勘違い”、“ラブコメ”と言えばヒロインとのやり取りにニンマリさせられる物語を連想させる定番カテゴリーかと思ってたけれど、読み進めるほどに胸が締め付けられるくらいの絶望と悲壮感で精神をゴリゴリに削ってくるラブコメ作品だとは思いませんでした。
トラウマを植え付けた人たちからの言葉も届かず、トラウマを植え付けられた人たちを拒絶し、これ以上傷つくことを避けるために距離を取る。
どこまでも主人公にとって救いようのない日々が続くなか、それでも主人公を救いたい想いに駆られる少女たちの切なる願いとのせめぎ合いも描かれていて、さらに精神にくる作品となっていました。
イラストを担当されている緜さんの作品もちょくちょく他の作品で目にする機会も増えてきましたけれど、作品のジャンルごとに味のある絵柄をしていて印象深いイラストレーターさんなので個人的に好きです。

とても記憶に残る素晴らしいラブコメ作品だと思うので、興味のある人はぜひ読んでみてください。おすすめです。


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