《あらすじ》
「年末にアンタの言う太陽系一可愛い彼女連れてきなさいよ」
冬休み初日、母親からの呼び出しに応じ結城の実家へと向かうことになった二人。
緊張した面持ちの小鳥と初対面を果たす快活な母、そして兄とは対照的に家に引きこもりがちな弟。
更には結城祐介のことが好きだと宣言する幼馴染みも現れて!?
愛情、コンプレックス、恋心。結城祐介に向けられた様々な感情に触れつつ清水小鳥は遠地で変わらぬ思いを吐露するーー
「私は結城さんを愛するって、そう決めたんです」
結城祐介を形成してきた過去、そしてこれまで歩んできた軌跡が明かされる。
二人の愛と絆が深まる第4幕。
結城家の家庭事情、引きこもりな祐介の弟・雄斗の存在、祐介の幼馴染みで彼に好意を寄せていた女の子・大坂奈央子。
祐介の実家へと一緒に向かった小鳥の存在がきっかけとなり、雄斗のなかにあった自分の兄に対するコンプレックスや考え方を一新させ、祐介に対して抱いていた奈央子の恋心を小鳥の真っすぐな愛情が木っ端微塵に砕け散り。祐介、雄斗、奈央子の三人の間にあった過去のあれこれが小鳥の立ち回りによって新たな風を巻き起こし、三人の関係性を大きく変えることになる重厚なドラマがとても丁寧に描かれていて素晴らしい作品でした。
シリーズ2巻、3巻に負けず劣らず、サブキャラクターに焦点を置いた物語がメインとなっていて、主人公視点では決して語られることのない心境や強い喜怒哀楽の感情が描かれいるところが特に印象深い作品です。一度、作品の雰囲気に飲み込まれるとその世界にのめりこませ、キャラクターたちの感情が強烈に肌で感じ取れるとても読み応えのある作品です。
個人的には4巻で書籍化が終わってしまうのは残念でしかたがないです。Web版は続編が描かれているみたいです。機会があれば読みたいと思います。