働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

学園の聖女が俺の隣で黒魔術をしています

《あらすじ》
なにが青春だ。どいつもこいつも、恋だの部活だの遊びだの、楽しそうにしやがって。
俺には友達もいない。恋人もいない。部活にだって入ってない。青春なんて無縁だ。
だけど、それのなにが悪いんだ!?
そんなくだらないものをありがたがっている奴らも、俺を見下すような奴らも、全員くそだっ。
そう思っていた。彼女に出会うまでは。
誰もいない昇降口。壊れた下駄箱。汚れた階段。床が抜けそうな木張りの廊下。
そんな古びた旧校舎の三階の一番奥に、秘密の部屋があった。
黒い三角帽子とローブを身に着けた冥先輩は、床に魔方陣を描き、黒魔術で人を呪うことに余念がない。耳にかかる艷やかな髪をかきあげ、海のように澄んだ大きな瞳で、はにかみながら彼女は俺に言う。
「呪っちゃうからね」
空が青く澄みわたり、桜舞う春。
入学したばかりの高校で出会った彼女の笑顔を、大人になった今も俺は忘れられない。
聖女と崇められる先輩と出会ったことで、かけがえのない青春を送ることになる、ある高校生の物語――。



ーー聖女と呼ばれる裏で黒魔術によって人を呪っている冥先輩。彼女の秘密を共有することで、俺の高校生活は輝いていく。ゆっくりと。

空気のように生きることが信条の影が薄い主人公・上賀茂京四郎、主人公の先輩で“神河学園の聖女”と呼ばれる沙倉冥。
将来、結ばれることとなる二人の高校時代の出会いのきっかけはとある“黒魔術”。使われていない旧校舎で過ごしてきた二人の青春時代。黒魔術師っぽい恰好をする冥先輩のそれっぽい書籍をもとにした黒魔術で効き目なんて微塵もない呪いをかけて青春を送る毎日。
聖女と崇められる冥先輩が黒魔術で楽しむ姿は決して他人には知られてはいけない……。

プロローグでかつて通っていた校舎を前に思い出を語っていた二人。これまで過ごしていた青春を振り返るように始まる物語。
京四郎と冥の未来の関係性が始めに描かれていることで、冥と一緒に続けてきたたわいもない日々がかけがえのないものとなっていて、仲の良い先輩・後輩の関係から少しずつ関係を深めていくパーツが揃っていく。未来の関係がわかっていてこそ楽しめる京四郎と冥の距離感が変化する姿のような味わい深い物語が描かれていて、凄く良い作品でした。



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