働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

創成魔法の再現者 3 魔法学園の聖女様 〈上〉

《あらすじ》
――キミ。
本当はものすごく強いよね?

ユルゲンから密命を受け、貴族が通う王立魔法学園へ入学したエルメス。
とある事情で『原初の碑文(エメラルド・タブレット)』の使用を禁じられたエルメスは、家格や魔法に難ありの問題児が集まるBクラスへと配属される。
実力を隠して学園生活を送るエルメスを自分たちよりも弱く、出来損ないであると見下すクラスメイトたち。
そんな彼らの傲慢な所業にエルメスが黙っているわけもなく……!?
実力の一端を見せてBクラスを認めさせたエルメスは、彼らが燻る理由を優等生が在籍するAクラスへの劣等感だと看破。
Aクラスを超えるべく常識を破壊する魔法講義を開始して――!?
無才の少年が世界の常識を覆す最強魔法譚、第3巻!

あらゆる価値の優劣を『血統魔法』の力で決める王国の常識。
王立魔法学園では力の優劣によってクラスが割り振られ、優等生が在籍するAクラスではBクラスを見下し、Bクラス内でも力の劣る血統魔法使いは見下され、『血統魔法』というものが貴族たちの価値観をどれだけ歪ませて世界は動いているのか。そんな魔法世界の縮図となるようなヒエラルキーが生徒間で繰り広げられていて、自意識の肥大し暴力の絶えない凄惨な日常が描かれていました。
いかにして、かつてのエルメスの師匠は学園を見限るに至ったのか。世界の常識を覆すために魔法学園へと入学したエルメスのたどる人生がどれだけ困難な道かがひしひしと伝わってくる物語で、前巻に負けず劣らずのハードな展開が続く内容でした。
ただ、作品の世界観を語るうえで欠かせない、『血統魔法』に関連する歴史的な背景が多角的に掘り下げられていて、より深く世界観を感じることができてとても読み応えのある内容でした。
それと、エルメスが世界の常識を覆すために下した決断、Bクラスのある意味での意識改革、そしてAクラス対Bクラスの決戦。
やっぱり学園編といったらバトルですが、そちらも見どころ満載の熱い展開が目白押しでとても素晴らしかったです。
オーバーラップ文庫作品のなかで今最も勢いのある作品ですが、未だ衰えることのない凄く熱量がこもったファンタジー作品で個人的にもおすすめしたい作品なのでぜひとも読んでいただきたいです。

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