《あらすじ》
突如勇者達に届いた勇者教会からの招集命令。
そこにはなぜか、勇者ではないジレイの名前があった。
近頃様子のおかしいレティノアを放っておけず、ジレイは渋々命に応じることに。
【運】や【呪】など未だ見ぬ勇者が集ったその場で示されたのは、勇者教会からの依頼と試練。
それはとある大罪人を【試練の谷】の最深部へと輸送し、“置き去り”にすることであった。
だがその依頼の裏では、レティノアを巡る“最悪”な計画が企てられており――
「悪い、遅くなった――レティ。いま、助けてやるからな」
かつて“勇者”を目指した、怠惰な冒険者の無双ファンタジー、第4幕!
ー-あなたには女難の相があります(【運】の勇者より授かったお言葉)
ジレイが関わり世話をしてきたヒロインたちがどこまでも付きまとってくる重すぎる愛が振りまかれるハーレムラブコメチックな日常から一変。
【攻】の勇者・レティノアにまつわる不穏な存在と彼女の生い立ちに隠された秘密。
かつて、勇者に憧れを抱き、勇者を目指し、現実に直面して怠惰な冒険者となったジレイだけれど、純粋で真っすぐに勇者として振る舞うレティノアが窮地に陥り彼女に隠された真相に迫ったとき、大切なもののためにどんな困難な局面にも立ち向かう。
怠惰なジレイがヒロイックファンタジーな物語の主役を演じる展開が一周回って新鮮味を感じられて、今回も凄く面白かったです。
シリーズ1~3巻全体を俯瞰してみても、たびたび勇者としてのポジションにどこか不穏な雰囲気を漂わせていたレティノアの過去を彼女の視点から描き、いかにして【攻】の勇者としての存在へと至ったのか。そのドラマの見せ方や描き方もとても良くって、物語のそれぞれの場面でグッと目を引く展開が多くて読みごたえがありました。
個人的にもお気に入りのシリーズ作品なだけでいつも新刊を楽しみにしているので、今回もとっても満足です。
次はどんな展開がジレイを待ち受けているのか楽しみです。