《あらすじ》
独身会社員の俺・新木吾朗は、清純派アイドル・桃花愛未の大ファンだ。
ある日、彼女の“熱愛疑惑”が報じられ――ショックのあまり会社を休んだ。
週刊誌には、コンビニ前で彼女が男の手を握っているかのような写真。
「……これ、俺じゃね?」
そこには以前財布を拾ってあげた女の子と自分が写っていて!?
さらに『疑惑についてお話したいことがあります』SNSに届いた怪しいメッセージ……俺を呼び出したのは、渦中の桃ちゃん本人!
グループを脱退すると言う彼女に、それでも応援し続けると宣言した俺が、
「特等席から、私を見守ってくれますか?」
推しの日常と、再起の道に寄り添うことになるなんて。
グループを脱退した元人気アイドルとファンの偶然の出会いから始まった青春ラブストーリー作品。
30代独身のごく普通の会社員・新木吾郎。ごく普通に会社に勤め、タバコを嗜む彼が、偶然撮られた写真により『熱愛疑惑』が報じらたことで、元アイドル・桃花愛未の人生に大きくかかわることになる。
おそらく、10代後半から20代前半にかけての男子高校生・大学生あたりの主人公視点で繰り広げられる恋に焦がれるような恋愛ものとは一線を画していて、ややアダルティな恋愛(エロい意味ではなく)が描かれていました。
新木が吸うタバコの臭いをところどころに漂わせる情緒的な雰囲気、マスコミにより報じられた“熱愛疑惑”でアイドルを続けていくか否か、自らの進退について
悩み考え抜く姿、そしてグループを脱退したのちの身の振り方について考える姿。等身大のスケールで描かれる物語と恋愛が繰り広げられていて、これまであまり読んだ経験のないタイプの作品でしたけれど、愛情表現のアプローチの仕掛け方や社会のしがらみのなかで生きる二人の関係を縮めるプロセスがとても良かったと思いました。