働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

呪われて、純愛。



《あらすじ》
記憶喪失の湖西廻の前に現れたのは、清純で素朴な美少女、丹沢白雪。
「──私、廻くんと恋人だったの」
 白雪はそう言って顔を赤らめ、廻の頬にキスをする。
 その翌日、今度は魔性の魅力を持つ美少女、才川魔子が現れて激高する。
「ホントに記憶喪失なんだ――許せない」
 いきなり廻の唇を奪い、彼女は言う。
「──あたしが、本当の恋人だから。でもシラユキに言ってはダメ。秘密の関係だったの」
 廻の頭をよぎる『あたしに残ったのは、共犯者のあんただけ』という魔子の言葉。
 何が正しいのかわからない廻は、秘密の三角関係を受け入れるが……親友同士でもある彼女たちの純愛を思い出すにつれ、呪いとなって蝕まれていく──。

記憶喪失となった湖西廻の目の前に現れた“恋人”を名乗る二人の少女・丹沢白雪と才川魔子。
親友同士である二人の少女たちとの謎の三角関係。真相のカギを握るのは湖西廻の失った記憶。

仮初の平穏な日常を過ごすうち、少しずつ取り戻していく記憶と三角関係へと至った経緯、彼女たちからの好意に込められた本当の想い。
『記憶喪失』と『三角関係』から始まる三人の関係性が突き詰めていくと『不純愛』というよりも『純愛』のほうがしっくりとくる青春劇でした。
ことは、三人がまだ幼い頃の生い立ちが大きくかかわり、数奇な因果で導かれたように惹かれあったがゆえに巻き起こった悲劇なのかと思うと、三人の呪われたかのような日々にはとても感情を揺さぶられます。
丹沢白雪と才川魔子の人生にとってかけがえのない存在となった湖西廻を取り合う構図がいかにして出来上がったのか、そしていかなる結末へといたったのか。その全てが込められた作品でした。

個人的にも、『純愛』とも『不純愛』とも感じ取れる要素が合わさり、ヒロインたちの爆発力のある強い感情がぶつけられている目を引く展開がとても魅力的な作品でした。記憶に残る名作だと思います。
興味のある人はぜひとも読んでみてください。