《あらすじ》
礼奈との夏夜の一件以降、彼女に釣り合える人間に成長しようと、就活に学業にと勤しむ悠太。
家に通ってくれている真由も、大学で一緒にいることが多かった彩華とも、多忙からなんとなく会いにくくなっていて――
そんなとき、悠太の家でたまたま彼女たちが鉢合わせ、真由がライバル心から彩華に『どちらが悠太と距離を縮められるか』という勝負を吹っかけて!?
「好きであんたといるんだもの」彩華とは二人が通った高校へ。
「先輩、私もう逃がさないですからね」真由とは彼女の地元で休日デートを。
礼奈の残した「遠慮しないでね」という言の葉が、選択の時までのカウントダウンを早めていく――！
高校の頃からの仲で大学でも一緒にいることが多かった彩華、自宅に足繁く通いサークル活動中もサポートしてくれる真由。
これまでの悠太と彼女たちはどこかプラトニックな距離感で交流を続けている側面を感じていましたけれど、礼奈と悠太の一件を皮切りに選択を迫られる段階へとステップアップしたことでさらなる青春ラブコメの攻防が繰り広げられていて、とても読み応えのある１冊でした。
好意を持ってきて接してきてくれる女性がいて、恋人という枠組みにおさまらないなかで続けている関係。各々が恋愛に対する考え方を持ち、どのようにして距離を縮めていくのか。
シンプルに主人公とヒロインのまったりしたラブコメから徐々に関係を深めていく作品があるなか、恋愛に対してここまで熟慮を重ねに重ねて言葉を交わしていく物語はとてもめずらしく、主人公とヒロインの視点から見えてくる光景がとても多彩でおもしろい作品でした。
いよいよ次が最終巻ということで、悠太と真由と彩華の関係にどのような結論を出すのかがとても楽しみです。
