《あらすじ》
美少女魔法使いのシャノンは世界各地を旅をしていた。旅の目的は――自分が死ぬ方法を探すこと! 彼女は不慮の事故で悠久の時を生きる不老不死となった。もう、充分生きたからとちょっとでも死ねそうなイベントを見つけては向かっていく。凶暴なドラゴンに遭遇したらエサになろうとし、未完成の薬の治験≒人体実験に進んで名乗りあげ、トラップ満載の未踏破ダンジョンには回避禁止縛りのゴリ押しプレイで挑戦する!「う~ん残念! また死ねなかったか!!」でも死なない、不死身だから! きっと広い世界の何処かに素敵な死に方があるはずとシャノンは今日も元気に旅を逝く!
あるときは凶暴なドラゴンに襲われている村に嬉々として突撃をし、あるときは不治の病の特効薬を完成させるための実験体となったり……。
不老不死の魔女が死に場所を求めて旅を続けるなか、行く先々での一期一会の出会いのなかの出来事が綴られた旅ファンタジー作品といった感じの内容でした。
なかでも印象深かったのは『不老不死』の主人公が『死に場所を求める』といった点でした。
誰しもが一度は考えたことがある『永遠の命』。為政者が権力を振りかざしてでも手に入れたがる姿は想像に難くないです。
そんな『不老不死』の力を現実のものとして身に宿している物語の主人公が持つ死生観や想像を絶するほどに長い年月を生きてきた人間ならではのズレた価値観を、独自の視点で語る展開がとても興味深くて楽しめました。
それでいて、「よっしゃ!! 今日も張り切って死ににいくぞ!!!」といったノリで常人の正気を疑う陽気で愛らしいキャラクターもまた良かったです。
なかなかにキャラクターの個性が突き抜けた作品でした。
凄く面白かったので新刊が出るのであればぜひとも読んでみたいです。