働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ステラ・ステップ2

《あらすじ》
〈暴力〉に置き換わる〈道具〉として少女たちが戦う世界。

レインはハナの真実に心がついていけず、彼女とまっすぐに向き合うことができずにいた。
彼女の心とは無関係に、戦舞台で敗北した2人を『鉄の国』へ運ぶ心動車。
だが、彼女たちを乗せた車は突然止まり、1人の少女を降ろして再び動き出す。

「と、止まって……置いてかないで……」

ハナと離ればなれにされてしまったレインはひとり、悩みながらも〈道具〉として歌い、踊る。

一方、研修生としてレインと引き離されたハナにも笑顔の裏に知らなかった感情が芽生え――。

紅く暗い『鉄の国』。
“彼女”が隣にいない世界で、キラキラを探す少女たちが紡ぐ絆と愛の物語。

アイドルのライブが国家間の戦争へと変わり果てていき、“道具”として生きるのが常となった少女たちの日常。
心をすり減らし日に日に身の危険を感じながらも、それでも“道具”としての存在を受け入れ戦争へ駆り出されていく切ない光景が続くなか、レインとハナの見せた可能性に一筋の光明が差す。

作品の世界観における『アイドル』というものの位置づけが長い年月を経て『兵器』として扱われる時代となり、かつての観客が訪れる催しと遠くかけ離れた世界を舞台とした作品でした。
『兵器』としての過酷な日々のなかでも、敵国との戦争に向けてアイドルらしく歌とダンスの研鑽に励むという、華やかそうに魅せる振る舞いとは真逆のことに邁進するギャップ感が凄まじいです。
『アイドル』と『戦争』。これだけでも歪さが際立つのは一目瞭然。そんな世界のなかで、ひょんなことがきっかけでかつてのアイドルたちが魅せていた笑顔と大勢の観客へ向けたキラキラしたものを取り戻すため、これまで『兵器』として長年続けてきた自らの価値観から考え方を改めて生きようとするレインの姿と、レインを導くきっかけとなったハナの物語がとても感動的でした。
とっても素晴らしい作品だと思いますので、ぜひとも物語の続きが読んでみたいです。楽しみにしています。
もっともっと売れてほしいと切に願います。


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