働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

居残りすずめの縁結び あやかしたちの想い遺し、すずめの少女とお片付け

《あらすじ》
夏休み。久し振りに母の実家を訪ねた高校生・空木悠護は、少女の幽霊と出会う。

「儂ずっと、ずっと悠護のことを待っとったんじゃぞ!」

そう言う彼女の正体は、悠護がかつて保護してチュンと名付けた雀であった。
人と動物、生者と死者の境を彷徨う魂はハザマと呼ばれる存在になるらしく、
悠護と再会し人の姿で遊びたいと願ったチュンは、
この世に留まり続けていたのだという。
悠護は、そんなチュンの願いを聞くことに。

 ところが、チュンは普通のハザマとどこか違って“特別”らしく、
助けを求めて様々なハザマが訪ねてくる日々で……!?

幽霊と妖怪の中間にあたる存在であり人に強い想いを残したまま死んでしまった動物の霊がなるのが“ハザマ”
夏休みに久しぶりの母親の実家である田舎に訪れた主人公。小さい頃に保護した雀のチュンがハザマとなって再び主人公の目の前に現れ、田舎に未練を抱き居残り多くのハザマたちを見ていくうちに、主人公のなかに燻ぶり続けていた家族との隔たりに向き合い成長していくとても心温まる作品となっていました。

主人公の目の前に現れた“チュン”が何故、未練を残しハザマとなって現れたのか。そして、チュンの抱える想いとは何なのか。
不思議な現象によってハザマとなり、主人公と言葉を交わすことが可能となったチュンとのひと時の日常。夏休みに偶然訪れた田舎での本当の偶然の二人の再会。思い出にひたり楽しい日々も時間制限付きで、刻一刻と別れの時が近づき、チュンのなかにある未練とも向き合わなければいけないことに対する焦燥感がとにかく切ない。
物語としても、理屈としても主人公とチュンの現在の関係性に終止符を打たなければいけないことは百も承知ですけど、読み進めていくうちに感情の部分が「もっと一緒にいてほしい」と感じてしまって、とても心に響いてくる感動的な作品でした。1巻完結としても、とてお綺麗におさまっていてスッキリとした読後感を得られる内容でした。



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