異世界に召喚をされ、勇者として国にもてはやされ、魔王の討伐に出立する……、という王道を全部ぶち壊し、与えられた称号は『侵略者』で国の意向に背き夜中に脱出を企て、迫害されるクラスメイトや盗賊と結託して反旗を翻す。主人公が敵に対して向ける『クズ』な行いとピーキーなスキル『穴』の力を活用して異世界を暗躍し、裏側からこそこそ国の戦力と戦意を削いでいく。
主人公とは思えない陰湿、邪道、非道、冷酷無比なクズムーブが輝いて見えるダークヒーロー的なキャラクターがとても良かったです。
称号『勇者』は国にとって重宝される存在であり、モンスターを討伐することによるレベルアップのサポートも行う。一方で『勇者』以外の称号を持つ人間は冷遇される二面性があり、それが対立構造を生み出し、結果的に国に対する反乱分子の起点となった。それに加えて主人公の悪役ムーブが対立構造を加速させ、日を追うごとに勢力を増大させることで壮大な騒動の火種で敵対する勢力に大打撃を与える。
この主人公とは思えないキャラクター性が新感覚の物語を生み出してくれてとても楽しめる作品でした。