働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

あのとき育てていただいた黒猫です。

あのとき育てていただいた黒猫です。 (電撃文庫)

「癒やし」と「つながり」を求めるすべての人へ――
 ある日、一匹の黒い雄猫が天寿を全うし、飼い主の腕の中で息を引き取りました。しかしその直前、黒猫はあることに気が付きます。
『――僕は、何も返せてないじゃないか!!』
 優しくしてくれて、甘やかしてくれて、たくさんの時間を一緒に過ごしてくれた飼い主・瑠璃香に何もお返しできていないことに思い至り、悔やんで悔やんで、でもだんだんと力が抜けていって――気が付くと妖怪・猫又となっていました。妖怪が人間と交流するなら人間の姿にならないと……そこで変化を試みるも妖力が足りず、幼い男の子の姿が精一杯。しかし元黒猫・テトは全速力で走ります。二年が経ち少しだけお姉さんになった瑠璃香のもとへ――今度こそ、恩返しをするために。

亡くなった愛猫が人間の姿となって蘇り、悲しみに暮れていた飼い主のもとへと現れ再び一緒に暮らし始める。

生前の猫だった頃に眺めていた人間社会の文明の利器に対して、猫視点からの解釈が描写されたり、猫と人間の生活様式を対比したときの主観がとっても独特なところがおもしろかったです。
人間の常識と感性から微妙にズレているところなどから、この物語のメインが人間の姿になった猫なのだと認識させられます。

人間の姿になって間もない頃は当然のことながら新しい生き方に対する拙さがありましたけれど、日に日に学習をしていき飼い主さんから成長を褒められてほんわかした日常を過ごしていてとても心温まる物語でした。

それ以外にも猫たちが集う独自の猫ネットワークが構築されていたり、飼い猫たちのコミュニティの日常コメディが展開されていて、いろんな意味で新感覚の物語が楽しめる一冊でした。


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