降りしきる冷たい雨の中――心細そうに「抱きしめて欲しい」と願い出たクリスティーナの姿に不安を感じざるを得ないリオ。
しかし翌日には普段の冷静で堂々とした態度を取る彼女に、それ以上は強く踏み込むことが出来ずにいた。一方、クリスティーナはリオとの抱擁に勇気を貰ったかのように、揺るがぬ決意を胸に秘めながら自身のすべてを賭した計画を推し進めて……。
「いかなる代価も支払う。本当にその覚悟があるのよね?」
未来を見通す女神が指し示す先は希望か、それとも――!?
この27巻から担当するイラストレーターが交代になるみたいです。
油布京子さんは巻頭の紹介でも書かれていますけれど、アニメのほうで関わりのあった方らしいです。これまでと違ったリオたちや今回の騒動の中心人物としてあげられ処刑される流れとなったクリスティーナのイラストも初お披露目となりましたけれど、Rivさんとはまた違ったキャラクターのいろんな表情や絵柄が味わえました。
ただ、イラストレーターが交代となったためか巻頭でのこれまでの登場キャラクター紹介のページが消滅していたのが少し残念でした。一応は主要なキャラクターに関して概ね記憶はしていますけれど、今まであたりまえのようにあったものが無くなるのは少し寂しいです。
新しいイラストレーターの絵柄で再登場する未来に一縷の望みをかけて楽しみにしていきたいと思います。
肝心の27巻の内容に関しては、結末まで読み終わって抱いた感想は『シリーズ最大級の鬱展開と喪失感に襲われた』というところが大きいです。
主人公が幼い頃に学院に通っていた頃の思い出話やそこでのセリア先生との出会い、クリスティーナやフローラたち学院生徒との邂逅シーンなどなど。過去と繋がるエピソードや現在に至りリオの名誉ある立場と関係性を振り返り、学院時代との変貌ぶりにあらためて感じ入るものがありました。
ついでにリオの人間的魅力が爆発し天性の女たらしの被害者が続出して、いろんな意味で楽しめる1冊にはなっていました。
まあそれらの平穏な日常の空気を全て消し飛ばすくらいリオにとって避けられない物語が進み、読み進めていた自分は絶望しましたけれど……。
28巻ではどのような話となるのか続きが気になる限りです。
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