働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

彼女と俺とみんなの放送(2)

彼女と俺とみんなの放送(2) (電撃文庫)

《あらすじ》
ネット生放送に情熱を燃やす天然少女・千遙を、親父さんの危機から救ってしばし。相変わらず危なっかしい彼女を助けつつ放送を続けていたある日、とある生主から千遙に『会いたい』と連絡が入った。その生主は…なんと生主時代の俺の妹分。やばいな…引退した俺はもう彼女に会うことはできないわけで…。でも千遙の、ネットで繋がった初めての放送仲間に、俺の都合で会わせないわけにも―。結局一緒に会いに行くことにしたんだけど…お、俺のこと言うなよ千遙!絶対だぞ!…フリじゃねーよ!
伝説の“生主”タクエルの妹参戦!? シリーズ第2弾!

ニコニコ生放送初心者の千遥の奇想天外の行動も止まることなく、誰も想像のつかない『釣り放送』を実現していて、予想の斜め上をいく展開には思わず笑いを誘われる。
ニコニコ生放送という特殊な環境に身をおいている『生主』と『ユーザー』についてのある程度の知識が備わっていると、伝説の生主“タクエル”や千遥が巻き込まれている状況を十全に楽しむことができて面白かったです。

また、前提となる知識がない場合であったとしても、ニコニコ生放送の概要についての簡単な説明も添えられていて非常に読みやすくてコミカルなので、その点はご心配なく。

ネットの世界における善意や悪意をもって接してくる人間を絡めたシリアスな雰囲気と感動的な場面も適度に散りばめられていて、ニコニコ生放送ならではの展開が楽しめる素晴らしい作品だと思うので、ぜひとも読んでみてください。

おことばですが、魔法医さま。 ~異世界の医療は問題が多すぎて、メスを入れざるを得ませんでした

おことばですが、魔法医さま。 ?異世界の医療は問題が多すぎて、メスを入れざるを得ませんでした?<おことばですが、魔法医さま。> (電撃文庫)

《あらすじ》
優秀な医学生の伊坂練次郎が召喚された世界…そこは回復魔法が正統な医療として発展した異世界だった。魔法医の少女コーディによる魔法治療を目にした伊坂は、それが内科的な病気にあまり効果がないことに気づく。ならば!と現代知識を活かして病に苦しむ人たちを診て回るが、それを知ったコーディはなぜかプンスカ怒りだし―??「魔法こそ唯一絶対の医療なんです!あなたの言うカガク?なんて認められません!」自らの医療魔法に絶対の自信をもつ少女と、現代医療に全幅の信頼を置く青年。二人の出会いが異世界医療に衝撃を刻む!!

魔法の力によって外傷や病をたちどころに治してしまう“回復魔法”に現代が育んできた医学的観点からツッコミを入れまくる異世界ファンタジー作品。『回復魔法で風邪の症状を抑えるのに効果はあるけれど、体内から原因となる細菌やウイルスは排除されているのか?』など、“回復魔法”の固定概念がドンドンぶっ壊されていって、回復魔法が全てと信じて疑わない異世界人の認識を根底から覆している光景が滑稽に思えてくる。

現代で医療を専行している主人公なだけに化学の分野においても造詣が深く、異世界に存在する素材を駆使してその場で医薬品を製造したり試薬として用いている劇物の硫酸&硝酸を武器に戦ったり、医学生の持ち寄る知識の粋を尽くしたケミカル攻めが炸裂していて面白かったです。

最後の山場には現代でも猛威を振るう強敵ともいえる病かつ、異世界で初めてとなる病原体と対面することになっていて、現代ほどの設備が整っていて異世界でどうやって窮地を脱するのか緊張の展開を、異世界の魔法と現代の医学でどう乗り切るのか。手に汗握るシーンは夢中になってページをめくる面白さがあって最高でした。

そして黄昏の終末世界<トワイライト> 1

そして黄昏の終末世界<トワイライト> 1 (オーバーラップ文庫)

《あらすじ》
―終わりは、すでに約束されている。人類は予言された終末に抗うため、人知れずその要因『刻の黄昏』と、内部に現れる魔人『ペイガン』と戦ってきた。そんなことが世界の裏側で繰り返されるなか、日本の高校生・東雲冬夜は突如異変に巻き込まれ、刻の黄昏に迷い込んでしまう。刻の黄昏でペイガンに襲われた冬夜は、終末と戦う少女・如月御姫に助けられ、事なきを得る。翌日、冬夜が御姫から異変について説明を受けていると、再び刻の黄昏が発生。御姫はペイガンを倒しに飛び出すが、なぜか一介の高校生である冬夜の手にも、普通の人間が持ちえないはずの超常の武器・サクラメントが握られていて…!?

普段はごく普通の日本の高校生の主人公が、世界の裏側で未知の敵との戦いを繰り広げられている現代ファンタジー風の世界が途方もなくカッコいい!!
学校生活を送りながら、平穏に日々を暮らしているクラスメイトの知らない世界で活躍するシチュエーション。それが学校で知らない人のいない高嶺の花である美少女と魔術絡みの話しで行動をともにしていたら、学校中の生徒から実力行使の嫉妬をぶつけられ、運動部員の精鋭からの追跡を逃れる大逃走劇に発展したり、現代を舞台にしたファンタジーのこういう遊びの部分はホントに楽しくてしょうがない。
1巻の現段階では、日本を取り巻く魔人と対抗するための勢力に具体的にどのようなものがあるのか、また主人公と日本の組織との接点も薄いために、まだまだこの作品の世界を広げる要素が目白押しな感じなので、いやがおうでも期待が高まる。

俺色に染めるぼっちエリートのしつけ方

俺色に染めるぼっちエリートのしつけ方 (角川スニーカー文庫)

《あらすじ》
第21回スニーカー大賞〈特別賞〉受賞作!甘くて厳しい、しつけラブコメ!
学年一のイケメン紳士と名高い俺――東雲甲(しののめ・こう)には秘密があった。本当の俺は、自分の彼女を性的にいじめるのが大好きな“紳士&サディスト”=SADS(サッズ)だったんだ! 今日もSADS衝動を炸裂させ、彼女にふられる俺。そんなある夜、俺はエロゲ好きの小学生(?)レナトに出会う。ひきこもりのレナトの夢はコスプレで夏コミ参加!? よし、俺流の甘くて厳しい“トレーニング”でその夢を叶えてやる!

学年一のイケメン紳士だからこそ許されかつ可能とされているラブコメ。胸焼けがするくらいに東雲甲の毒牙にかけられて身も心もベタ惚れな少女たちが挿し絵付きで登場し、たまに見せるエッチな展開にはこの上なく癒される。

この作品のイラストを担当されているパンさんの描くキャラクターのクオリティがカラー・モノクロともに素晴らしいのはもちろんのこと、キャラクターを形作る物語でのヒロインの言動や性格などの数多くの要素をふまえて、キャラクターの可愛らしさがプラスされていくので、極上のラブコメ作品に仕上がっていたと思いました。

そんなヒロインの可愛らしさを前面に押し出した作品ですが、キャラクターのセリフに特徴のあるフレーズを付けることで強調するキャラ付けが使われているのに全く違和感を受けることなく、むしろ自然に溶け込んでいることに驚きました。物語のなかで軸となるヒロインのレナト(表紙に描かれている女の子)のキャラクターには特に注目してほしいです。ほんっと、このヒロインがとにかく可愛くてたまらないです。

Q.もしかして、異世界を救った英雄さんですか? A.違います、ただのパシリです。

Q.もしかして、異世界を救った英雄さんですか? A.違います、ただのパシリです。【電子特典付き】<Q.もしかして、異世界を救った英雄さんですか?> (MF文庫J)

《あらすじ》
織原識は(嫌々ながらも)異世界の危機を救った英雄にして元引きこもりの少年である。現代へ戻った識は殺伐バトルな過去をぶん投げ、高校でのパシリ生活、もとい青春を謳歌していた―が、そんな学園ライフをぶち壊したのは落ちこぼれの女神だった!「ねー、識さま。パシるついでにもう一度異世界救ってくださいよ~」「一応聞くけど、お前女神だよな?」さらに英雄としての識を求め、別世界から女騎士とエルフまでもがやってきてしまい―「識、私と共に戦場を駆けてくれ」「あ、そういうの間に合ってます」「シキ、アーシェと子作りしよ?」「ぐ…間に合って、る!」「ハーレムもあるよ?」「…だから、俺はもう異世界に行きたくねえんだよっ!」

MF文庫Jからの前作である『明日、今日の君に逢えなくても』で高められた期待値をいろんな意味で裏切られた。
かつて異世界の危機を救った英雄の助力を求めに、日本の高校で学園ライフを満喫している主人公の織原識に向けてヒロインたちがあの手この手で迫ってくる学園ラブコメ作品。ヒロインたちが織原識にしかける怒涛のアプローチで展開されるドタバタ感と、日本社会の一般常識に疎いヒロインたちの突拍子のない行動の数々がコミカルで面白かったです。
しかし、どうしても前作で味わった感動が先行してイメージが根付いているために、異世界要素を詰めた平凡な学園ラブコメでしかおさまらないのが残念だと思いました。

自分のなかの思い出補正に引っ張られているのでしょうがないのだけれど、やはり読む段階での期待値が高かっただけに消化不良で終わったのが惜しい。
といっても、学園ラブコメに異世界を加えた作品はあまり味わったことがないタイプなので新鮮な気分で楽しめてよかったです。あとは次回作に期待したいと思います。

10年ごしの引きニートを辞めて外出したら 3異世界でエルフに会いました

10年ごしの引きニートを辞めて外出したら 3異世界でエルフに会いました (オーバーラップ文庫)

《あらすじ》
10年ぶりに家から出たと思ったら異世界で暮らすことになった北条雄二は慌てていた。現代日本で繋がっていた電気・ガス・水道・ネットが使えなくなり、家の敷地を囲っていた謎バリアも消失していたのだ。ライフラインが断絶し、モンスターへの備えもない。シビアな異世界サバイバルが問答無用でスタートしたのである。そんなとき手を差し伸べてくれたのは、開拓地の仲間たち。みんなで協力し、なんとかして快適環境を取り戻したユージたちは、情報を求めてエルフの美少女リーゼと青年ハルに出会う。エルフの力と知恵を借りてひとまずの危機を脱するも、さらなる悲報を告げられたユージたちは…!?

モンスターがはびこる異世界の過酷な状況下で、充実した現代の生活インフラと謎バリアで平穏な生活を送っていた矢先の大騒動。電気・ガス・水道・バリアが消えたときのどうしようもない危機感と、貴重な知識の供給源であるインターネットの住人たちのアドバイスも断たれて、本格的に異世界での窮地に陥っていてなかなかに緊張感のある展開でした。現代技術の粋を尽くした設備が全部機能しなくなると、水の確保も井戸に頼らざるをえなくなり、トイレひとつをとっても野外があたりまえ、お風呂なんてもってのほか。
一気に生活水準が異世界レベルにランクダウンすることになり、ユージやヨーコの悲鳴が飛び交うサバイバル生活を余儀なくされるなかでも、開拓地の仲間たちと交流し協力し合うなかで結束を深め合っていて、どんな集落に発展していくのかが楽しみになる光景でした。

異世界と現代日本をつなぐ力に隠された秘密や、ユージたちが異世界に巻き込まれている現状に対する情報など、物語の核心に迫る部分に大きな進展をもたらす内容にもなっていて、物語が収束にむかいつつあることも実感できて読み応えのある内容でした。
異世界ファンタジー作品のなかでも、戦闘シーンやユージたちの成長過程がコンパクトにまとまっているので、モンスターや敵対勢力との戦うときの戦局の流れがつかみやすくかつ読みやすい作品でした。

物理的に孤立している俺の高校生活

物理的に孤立している俺の高校生活 (ガガガ文庫)

《あらすじ》
この俺、波久礼業平には悲しいけどマジで友達がいない。周囲の人間の体力を奪う異能力のせいだ。クラスでも物理的に孤立してて、まさにスクールカースト範囲外!いや、理不尽すぎるだろこの立ち位置!そんな俺の前に現れたのが、高スペックなくせに毒舌のせいで友達ができない、通称「氷の姫」高鷲えんじゅ。こいつが友達を作る『同盟』をもちかけてきたんだけど、ぼっちが集まっても建設的な意見なんて出せないよね―とか言って諦められるか!残念系異能力者たちが全力で友達づくりだけに奮闘する青春未満ラブコメ、スタート!

異能力×学園。利用価値も需要もない異能も含め、キャラクターの数だけ多種多様な異能が登場するだけに、異能力者ごとに自分の能力に様々な悩みを抱えていて、これまでにない切り口で学校内での日常が展開されていて新鮮。まず、主人公である波久礼業平の抱える『半径1メートル内にいる人間の体力を奪う異能』から、クラス内で唯一机同士の間隔をあけられて物理的に孤立させられるシチュエーション。こんな、イジメられているわけでもないのに完全にボッチ扱いされる主人公なんて今までに見たことがないです。
ボッチキャラに波久礼なんて名前をチョイスするあたりに悪意を感じるけれど、半径1メートル内に近寄りたくないがために教室での配布プリントをラケットに乗せて、間接的に渡す光景をイラストにされたおかげで、波久礼くんのクラス内でのポジションが強烈なインパクトとともに伝わってきた。

友達を作る同盟をもちかけられ、高鷲えんじゅや菖蒲池愛河と接することになってからは、歴代ボッチ系ラノベキャラ特有のひねくれた感性、うがった見方、毒舌、自虐ネタを絡めた掛け合いのオンパレードで、キャラクターどうしの掛け合いもコミカルでかなり面白かった。むしろ本気で波久礼&高鷲のコンビのボッチのこじらせが病的過ぎて不憫に感じるレベル。

この作品ではじめてMika Pikazoさんがイラストを担当するライトノベルを読んだのだけれど、表紙を飾る高鷲えんじゅを含めてどのキャラもすっごい可愛いので挿絵のあるページをめくるのが楽しみでしょうがないです。作品中での言動や性格とイラストを込みすると、えんじゅが一番可愛かったです。

バトル要素を排除した異能力学園ものとしては、さらなるメンバーが同盟に加わることで異能力のレパートリーも増え、カオスな日常が繰り広げられてよりいっそう面白くなることが期待できる作品だと思うので、是非とも新刊の発売までこぎつけてほしいです。