働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん! ムリ! ムリ! 大好き! 3

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん! ムリ! ムリ! 大好き!  3 (HJ文庫)

《あらすじ》
自分の意志を貫き通そうとした結果、改めて周りの人たちの優しさや、小春を傷つけていた事実に気がついた悟郎。立ちはだかる現実に苦悩する悟郎に対し、小春はある提案をする。『あたしが今までできなかったこと、全部かなえて!』この言葉をきっかけに、悟郎は小春のワガママをかなえようと、女子高に潜入したり、春休みを利用して旅行へ出かけたり、小春のご両親に挨拶をしに行ったりするが―…。一途すぎる二人が紡いだ“どうしようもない青春ラブコメ”、ここに完結。

悟朗と小春の関係が周囲に知れわたり、立ちはだかる現実に打ちのめされて苦悩した場面から一変。亡くなったはずの小春と一緒に生きている現状と真正面から向き合い、これまでの騒動の全てにケリをつけ日常を取り戻すまでの軌跡が描かれていて、文句なしの読後感に満たされました。

小春の存在を悟朗以外にも認識させるために編み出したトリックで明菜たちの誤解が無事に解かれる瞬間は、悟朗の理解者が現れたことに対する安堵感と、小春との再会で話に花を咲かせるシーンが夢のような光景で感動的でした。

死んだ人間と生きている人間が共存するのはどんな事情があれ絶対にあってはいけない。しかし、現実に起きてしまったことがきっかけとなり、小春が悟朗との日常に関わっていくなかで『生きていたら当たり前に手が届く』ことに憧れてしまう。小春と悟朗の関係性も二人の一途すぎる想いの数々もこれまで散々見せつけられてただけに、小春の叶えたいワガママの数々が「叶えてやりたい!!」と共感を覚えさせるも、善悪の区別なく亡くなった人間が辿る運命をぶつけられるため、激しく感情が揺さぶられました。

何も思い残すことなく無事に消えていった小春を見送ることができ、そして無事に完結まで全ての物語を描ききれた作品を読み切ることができてとても嬉しいです。