働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉(13)

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉(13) (MF文庫J)

《あらすじ》
大軍と共に出現したタラード=グラムを説き伏せ、その助力によりザクスタン軍を撃退した、ティグルたち月光の騎士軍。しかし、王都への帰還の途上をグレアストの軍に襲撃され、満身創痍のティグルたちは壊滅の憂き目に。指揮官であるティグルとエレンは混乱のなか行方不明となる。エレンはグレアストに捕らえられ、彼女への異常な執着に晒されてしまう。マスハスやリムアリーシャが対策を練る一方、単身で動き出したティグルの元には、予測しうる限りで最悪の敵が迫り、同時に、最高の助っ人が駆けつけようとしていた――大ヒット最強美少女ファンタジー戦記、緊迫の第13弾!

敵軍の陣地に囚われているエレンを弓一本で敵軍の陣地に単身で突撃するティグルとの間にある物理的距離と彼我の戦力差が、抑えようのない緊迫した雰囲気がすごかったです。これまでのシリーズでたびたびおこなわれた大軍どうしの戦略・戦術の応酬とは違って、個人による敵陣営への夜襲なだけに、ちょっとしたミスで敵兵に見つかったときのリスクとのギリギリの綱渡りをしている感じは今までにない面白さだったと思います。
その他にも、先日ブリューヌを治める国王に即位したレギンの政治手腕が見せつけられる重臣たちを交えた場面での一連のやりとり。ザクスタン撃退の旨を報告、たったそれだけの報告のなかにも、レギンの即位をこころよく思わない人間の動向を探るために目を光らせていたりなど、間諜の存在に注意をはらっての高度な情報戦のやりとりと思慮深さは相変わらずすごかったです。ファンタジーの世界のなかであっても、遠くの人間に一瞬で情報を伝達するすべもなく、主に馬と人間だが行きかう世界のなかで、敵軍の情報ひとつで戦局の展開が大きく変えられることもあると思うと、思わず読みいってしまいますね。