働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない 2

高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない: 2 (一迅社文庫)

《あらすじ》
書き換わった歴史の中、最善を尽くしつつ現代への帰還を目指すダナン魔導学院の生徒たち。古代文明の遺産を利用した積層都市アルフェで開催される西部都市の魔族軍対策会議にダナンからも人員を派遣するのだが、洞窟都市グリンデのハルメス・ザルダート議長はケーネの姿を見て驚愕する。「あなたこそ、今代の星の神子!」一方、エルドは歴史上の重要人物、魔族軍と苛烈に戦い最後のひとりまで殺し尽くした女将軍シルテシア・アルフェミティと出会う。しかし、エルドの前に現れたシルテシアは、まだ争いとは無縁の優しい母親でしかなかった。星の神子に祀り上げられたケーネの運命、後世に虐殺者として知られるシルテシアの真実、そして積層都市アルフェで蠢く陰謀の影とは―。

表紙イラストでケーネの衣装の短さと施された深いスリットのせいで痴女にしか見えないのはご愛敬。イラストを担当されている“kakao”さんの紹介に大人向けの漫画やゲームの原画とあるように、凝ったイラストとキャラクターの可愛さが絶品(一迅社文庫だから乳首まではガンガン出すのかな)

千年前の世界に時間漂流したダナン魔導学院の生徒たち。現代への帰還の手がかりを目標に行動をするうえで、これから世界が辿る未来を事前に把握しているダナン魔導学院側の立ち回りと歴史に名を遺す重要人物に焦点を当て施策を立てる展開が、時間漂流ものならではのロマンがあって面白かったです。

高度に発達した魔法の力を有するダナン側の生徒たちではあるけれど、千年前の世界に漂流する際に巻き込まれた建造物の設備を維持するためのメンテナンス手段が得られない状況。そのうちダナン屋台骨をゆるがしかねない大騒動になる予兆のようなものも含まれていて、問題が表面化したときにどんな事態に陥るのかがちょっと気になる。

物語の本筋には関係ないけれど、漂流に巻き込まれた生徒の総数は100名を超える大所帯になっているそうです。そんな豊富な人材を、現代への帰還のために世界の各地を渡り歩いて行動をするエルドを中心にしたメンバーがもてあそばせているようなことはなく、要所要所で雑用を任せている生徒たちの労働環境と悲鳴まで細かく描かれていて、素で笑っちゃいました。

諸事情で一迅社文庫版のこのシリーズも二巻で終了の形をとったようだけど、個人的には好きな作者さんだし、何より『高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない』も好きなので是非とも三巻の刊行にまでこぎつけてほしいです。