働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

僕の知らないラブコメ

僕の知らないラブコメ (MF文庫J)

《あらすじ》
みんなは近いうちに逃げ出したくなるような嫌なことってある?あるよね、きっと。明日になっちゃえばいいのにって思うようなそんな時。僕、芦屋優太はそんな時間を早送りできる能力を手に入れたんだ。これでもう勉強や揉め事、全ての嫌な時間から逃げることができる。やったね!そうして早送りしながら日々を過ごしてたら知らないうちに彼女が出来ていた!しかも相手はあのクラスの問題児、柳戸希美だって?僕は怯えながらも付き合い始めたんだけど、意外にも柳戸はとても優しくて、そしてとても可愛くて…。どうして柳戸はこんな僕のことを好きになってくれたんだ…?え、このラブコメ、僕だけ知らないの?第13回MF文庫J新人賞最優秀賞受賞作!

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学園ラブコメよりも青春ものとしての風格を感じさせる。しかし、表紙を飾るメインヒロインの援助交際&ビッチが似合うキャラクターにぴょん吉神の18禁展開にもイケそうなエロいタッチのイラストで『MF文庫感のある学園ラブコメ:青春小説=1:1』になり、最優秀賞の肩書で世に送り出すにふさわしい傑作でした。

ブコメに+αを加え、物語のスタートはオーソドックスな路線を辿りつつも中盤に向かうにつれて徐々にオリジナリティや持ち味を活かした展開になり、最後まで読み切った後になると「いろいろあったけれど面白かった!!」と断言できる作品。

本作においては、『時間を早送りできる』という要素が+αの部分にあたるが、順風満帆に見えた主人公の芦屋優太とヒロインの柳戸希美の二人の関係を一発でぶち壊して(自分の)メンタルをゴリゴリに削り落とす鬱展開に上手く落としこまれていて、正直やられました。
交際が始まり、デートも繰り返し、それなりに仲睦まじく恋人らしい関係を地道に積み上げている光景を見せられて感情移入が入っているだけに、主人公に降ってわいた『時間を早送りできる』能力が招いた悲劇がきつかった。

ブコメに急展開をねじ込むとなるとどうしても『関係に亀裂を生じさせる』方向性になるけれど、真正面から来るとわかっていて身構えていても、没頭できる良作になると感情が揺さぶられてしまってやられてしまいます。

最優秀賞にふさわしい良作なので、学園ラブコメや青春小説が読みたい人はぜひ手に取ってみてください。