《あらすじ》
かつてのゲーム仲間であり、ミンシアナ女王となっていたユウコと再会した風音たち。旧交を温めたのち依頼されたのは、ユウコの息子ジーク王子の鍛錬をかねた、黒岩竜ジーヴェの討伐だった。我が子を千尋の谷に突き落とすユウコに軽く引きつつ、風音たちはジーク王子とともにジーヴェの根城であるダンジョンへと潜るのだった…。魔物を倒してスキルを奪取!大人気異世界ファンタジー第4弾!
異世界召喚ファンタジーの中でも『現実世界への帰還』にある程度の目処がたっていているところが、この作品が徐々に終着点に近づいて行っていることをハッキリと実感できる。異世界召喚を果たした時代は違えど、カザネやユミカと同様に異世界にやってきたユウコたちの存在が、謎に満ちた異世界の真相に近づくための重要なキーパーソンにもなっているところが、この先の展開を盛り上げてくれるんじゃないかとワクワクしてきますね。
4巻で新たにカザネたちの知り合いとの会合を果たしたことで、また1歩現実世界への帰還に前進した冒険とこの先に何が待ち受けているのかが楽しみです。
そして毎回カザネの持つ『倒したモンスターのスキルを奪って自分のものにする』スキルが4巻でも止まることなく進化を遂げていき、人間なのに冒険者仲間の誰からも人外認定されるほどの規格外な戦闘能力をもち、モンスターから奪った多種多様なスキルがダンジョン攻略から距離を置いた日常シーンを盛りあげてくれて面白かったです。
異世界召喚組のカザネとユミカの成長スピードは異世界召喚補正として認識すればいいものの、仲間の一人であり唯一の男性でありユミカの師匠であるジンライさんが覚醒し始めたのは、「お前じゃない!」とツッコミを入れたくなるところでもありますね。『真の強さを身に着けた人間は往々にして老化が遅い』、要するに強い人間はその強さを保ち続けることを意味しているはずなのに、『ユミカとのガチ勝負で勝ち越す』、『実は二槍流使い』使いであったり、「お前はちょっと下がってていいよ!」くらいに異世界転生組と遜色のない強さを発揮してくるから恐ろしい。ジンライさんはいったい何者なんだ……