働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

血翼王亡命譚 (1) ―祈刀のアルナ―

血翼王亡命譚 (1) ―祈刀のアルナ― (電撃文庫)

“私は駄目な王女だからね。自分のために命を使いたいの”耀天祭の終わり、赤燕の国の第一王女が失踪した―。だが、それは嘘だと俺は知っている。太陽を祀る五日間、彼女は王族の在り方に抗い、その想いを尽くしただけ…。突如国を追われた王女アルナリス、刀を振るうしか能のない幼馴染みの護衛ユウファ、猫の血を秘めた放浪娘イルナに人語を解する燕のスゥと軍犬のベオル。森と獣に彩られた「赤燕の国」を、奇妙な顔ぶれで旅することになった一行。予期せぬ策謀と逃走の果て、国を揺るがす真実を目にした時、彼らが胸に宿した祈りとは―。これは歴史の影に消えた、儚き恋の亡命譚。

第22回電撃小説大賞“銀賞”受賞作!
電撃小説大賞受賞作のもつ圧倒的なクオリティーでもって生まれた作品たちはいつみても他のレーベルの新人賞作品に比べて頭一つ抜き出ていているため、内容・ジャンル問わずに手を付けることができる。
全てを読み終わったときの第一印象は『300ページのボリュームのなかでの世界設定が濃厚』
登場する特殊な用語や歴史が多く存在するファンタジー風の世界で、登場人物たちの多くの思惑が複雑に絡み合っている内容なだけに、再読するとよりいっそう楽しめるであろう作品でした。
突如国を追われた王女アルナリス、刀を振るうしか能のない幼馴染みの護衛ユウファの『王女』と『護衛官』の立場がふたりの距離感に越えられない壁を生み出している光景を目にすると、これが何のしがらみもないごく普通の幼なじみであったらどれだけ幸せだったのかと思えてくる。