《あらすじ》
気になることはとにかく首を突っ込みたがる飯田さんは、今日も小和田くんに無理難題をふっかけていた。「学校の七不思議が現実に起こったんだよ? 気にならない?」「うん、気にならない」「犠牲者が出たらどうするの?」「出るわけないじゃん」
クールだけど飯田さんを放っておけないことには定評のある小和田くん。夜の校舎に響く子供の声、調理室から消えたケーキ、差出人も宛先も不明なラブレター。ふたりは今日も学園に起きた謎の事件に巻き込まれていくのだが……。萩原麻里が贈るちょっと不思議な学園事件簿。
学園で起こる不思議な事件に考えなしに首を突っ込む幼なじみの飯田さんと、いやいやながらもそれに付き合う小和田くんの親しいやり取りが高校生男女の青春オーラをまとっていて清涼感にあふれてる。幼なじみ同士のふたりの関係が恋愛関係に発展しないながらも、飯田さんの無自覚な何気ないしぐさや距離感が、小和田くんの健全な高校生男子の部分を刺激してドギマギさせているシーンもあって眺めていて気持ちが良いくらいニヤニヤしちゃいました。羨ましいことにふたりの家はお隣同士で、お互いの部屋は窓を介して行き来できるくらいに近い……、そして小和田くんの自室にたびたび訪れる飯田さん……、ストレートにベタなシチュエーションだけど飯田さんのあどけない無邪気な姿を目にするたびに愛着がわいてくるので、小和田くんがメチャクチャ羨ましい!
学園で起こるちょっと不思議な事件は短編連作の形式でわりとサクサク進んでいくので、小和田くんと飯田さんが真実にたどり着くまでの流れを純粋に楽しむ読み方もありだと思います。