《あらすじ》
聖女ルマキーナが呪詛を受けてしまった。解呪するにはディアヴロがゲームで入手したアイテムを使うしかない。数多の冒険者たちが攻略に失敗しているダンジョンに挑むことになるが…密かに余裕だった。このダンジョンを造ったのはディアヴロ自身だからだ―『我が地を荒らす小さき者どもに、死を与えよう!』たとえ最強種ドラゴンが現れようともディアヴロは魔王らしく怯まない!「フッ、たかがレベル140で神気取りか?笑わせるではないか、雑魚め」その頃、ジルコンタワーには魔王の覚醒を告げる魔族が現れて…!?自分が作ったダンジョンを自分で完全攻略!?やがて世界を震撼させる魔王(演技)が絶対的な強さで突き進む冒険譚、第五幕!
コミュ障のディアブロが魔王ロールプレイでパーティーと意志疎通をとることで、これまでにも色々な会話のすれ違いコントを量産してきたけれど、今回もも例にもれず全力で空回りしているディアブロの様相が絶叫の入り交じるリアクションもあって、思わず笑いがこみあげてくる面白さでした!
異世界をゲームとしてプレイをしていた頃にディアブロが作成した超高難易度ダンジョンの攻略にディアブロ本人が挑む。初見殺しやえげつないトラップ、高レベルの配置モンスターの猛攻の数々。ディアブロのチートステータスとパーティーメンバーのレベル差の加減が丁度いい具合のバランス調整になることで、ダンジョン攻略とその後の戦闘にほどよい緊張感が生まれてきて良かったです。
主人公が強すぎると敵との戦闘になってもワンサイドゲームになって面白さが半減する可能性もあるんですけど、そこをパーティメンバーと強敵に置き換えることでギリギリの接戦のすえに勝敗がどちらに転ぶかわからない、そしてその均衡をディアブロのレベルカンストの最大魔術の一撃で形成を逆転にもっていく。チート級のスペックと強さを持つディアブロからは生み出すことのできない緊張感のある場面と、その後の敵を一掃するまでの流れがスムーズかつサクサクと冒険が進んでいくので凄く読みやすい。
異世界転生チート作品のなかでも1冊のなかでストーリーが綺麗にまとまっていて、既刊全体を通して読んでも中だるみが一切ないので次巻が凄く楽しみ。