《あらすじ》
「きゃあ!」
馬乗りになった相手は10代半ばくらいの可愛い少女だった。しかし、その頭には兎のような真っ白い耳がぴょこんと揺れていた。
「あの……あの……手が……胸……」
「なん………うわ! なああぁぁぁあ! ごめんっ!」
ルーウィンが迷いの森で出会った少女はなんと頭に兎耳が生えていた。行きがかり上、彼女の窮地を救おうとするルーウィンだったが、デボネアのご機嫌は急転直下。しかし、国ひとつがまるっと主不在で未開拓地状態で地鎮し放題!? と話を聞いて一計を案じることに!!
地上げ屋エルフ×伝説の傭兵のバトル不動産屋。今回も元気に営業中!
地上げ屋エルフのデボネアと伝説の傭兵ルーウィンのコンビの掛け合いで生まれる切れ味の鋭い突っ込みが凄い。ツンデレなデボネアがルーウィンの女っ気の多さに嫉妬して怒りのままに魔法をぶっ放して暴力に出る姿が、デボネアの素直になれない感情の裏返しからきていることを前提に見てると絶妙な可愛さがにじみ出ていて、読んでいて気持ちがいいです。そして、デボネアとルーウィンが共に命の危機に瀕したときに見せるデボネアの数少ないデレと優しに圧倒的なメインヒロイン感がある。
未開拓地状態の土地を手に入れるに際して同業者なり敵対勢力との戦いに巻き込まれる流れになるわけだけど、強力な魔術を擁して一騎当千の戦力を誇るデボネアと伝説の傭兵ルーウィンの持つ剣術は共に一点が突出した能力なだけに、対策一つで急転直下のピンチに陥ることも。そんな展開のバランスもあって、ギリギリのピンチに陥った状態と形勢逆転からの敵をボコボコにする流れがテンポよく進むときは読んでいて気持ちがよかったです。
新人賞受賞作からの第2巻だけど、できることなら次巻も読んでみたいですね。