《あらすじ》
恋の相談、料理対決、魔道具お披露目会、etc…。異世界で様々な商売に勤しむ自販機ハッコンの前に、軽薄な笑みを浮かべる男が現れる。愚者の奇行団・ケリオイルの勧誘で、遠征メンバーとして駆り出されたハッコン、ラッミス、ヒュールミの一行は階層奥深くを調査する事に!しかし、予想外のトラブル続発で相棒ラッミスとはぐれ、階層奥深くで孤立してしまい…!?異世界に転生した流浪の“自動販売機”、大激闘の第二弾開幕!!
異世界に突如現れた自動販売機“ハッコン”の怒涛の活躍が止まらない。商品を提供するだけでは終わらずにボスモンスターの討伐にまで挑むことになっていて、戦いのなかでの引き出しの多さと奇想天外な攻撃方法があらゆる面で新鮮味にあふれていて面白かったです。
そもそも『主人公が自動販売機』『自立した移動手段をもたない』『はい or いいえなどの単純な言語コミュニケーションの意思疎通しか取れない』どれをとっても色物主人公感が激しく漂ってくる。この明らかに取り扱いの難しそうな個性を上手く作品に組み込み、異世界に転生した主人公の第二の人生をスムーズにテンポよく進行させてくれるので凄く読みやすいです。自動販売機なのに会話が平然と成立するところに突っ込みを入れたいけど、異世界人のハッコン語翻訳能力の高さにあるから……としか言いようがないです。
自動販売機なのにどうやって移動するのか……、それについてはハッコンをはじめて異世界で発見したラッミスの怪力が重さ500kg(自動販売機ひとつあたりのおおよその重さ)を軽々と運んでくれるおかげで、自然とハッコンの行動範囲も広がっていきます。異世界人たちの生活に『どんな商品でも提供する道具』として広く認知されているのもあり、ハッコンの周りに寄せられるトラブルや問題解決方法も多種多様。それに自動販売機ならではのアプローチと無双する展開を披露しレクれて凄く面白かったです。