《あらすじ》
とうとうアウラニースは復活した。そして、彼女は自由気ままに動き出す。アイリスとソフィアの予想に反して、マリウスの事は後回しにしたのだ。まずは食事、それから魔王探しである。途中、魔王に対抗しようという人間側の戦力と遭遇するが、彼女は殺さずに見逃した。彼女は人間の成長性に期待していたからだ。一方、ターリアント大陸では新たに戦争に向けての動きが見られるようになる。魔王復活をめざして魔人達の動きが活発になっているこのタイミングでどうして戦争を始めようというのだろうか。不思議に思ったマリウスは戦争を仕掛けようとする国の調査を始める。そこで彼が知った真実とは!?
ロングセラー人気シリーズ第10弾。魔王復活と新たな戦争の予兆。マリウスたちは人類の未来のために立ち上がる。
ロングセラー作品ともなると、王道の展開から外れてこれまで育ててきたキャラクターを遊ばせた物語をたどるところがグッド。ロングセラー作品にもなってくると『敵対していたスライムの魔王デカラビアも味方になってる』『魔人たちと協力して魔王アウラニースに向けた対策を練ってる』などの、普段だったら味わえないシチュエーションを踏んでいくところが、『ネクストライフ』をここまで読み続けたくなってしまう最大の要因ですね。
10巻という大台になってくると、『①このまま惰性で読み続ける ②最後までどんな結末を迎えることになるのか読みたい』の選択肢に迫られることがあります。『ネクストライフ』に関しては自分の中では概ね“②”のほう。
読書メーターやSNSなどでこれまでにも、『マリウスのバトルがあっさりしている』の類の反応をよく見かけるし、自分自身も共感する部分がありました。それでも、マリウスが強すぎる件を差し引いて1冊のなかで収められているストーリー全体の面白さを込みすると、『面白かった』ほうに軍配をあげたくなる。
魔王アウラニース VS マリウスの戦いの結末も良い意味で予想を裏切る展開に運んでくれたので、次の新刊も楽しみです。