働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

高校時代に傲慢だった女王様との同棲生活は意外と居心地が悪くない

高校時代に傲慢だった女王様との同棲生活は意外と居心地が悪くない (ダッシュエックス文庫DIGITAL)

《あらすじ》
ある日の深夜、コンビニでバイト中の大学生・山本は、レジでスウェット姿の女性客に声をかけられる。彼女の名前は林恵。山本の高校時代の同級生で、クラス一の美人。そして、勝ち気で傲慢がゆえに、「女王様」と呼ばれるような存在だった。高校時代はどちらかというと不仲で苦手だった林と、事務的にたわいもない雑談をするうちに、山本は林の手首に痛々しい青あざがあるのを見てしまう。「恋人に殴られた」という事情を聞き出し、ひとまず自分の部屋に連れ帰り匿うことにする山本だが、寝ようとした直後、林に後ろから抱きつかれて…!? 達観男と傷ついた女王様が、最悪の関係から始める同棲生活の行方は…!?

ほとんど関わることのなかった高校時代のクラスメイトで【女王様】と呼ばれていた人間が、高校卒業後に大学へ進学をした後に彼氏からのDV被害に晒されどん底に落ちぶれていったのか。
暴力を振るわれ、友人との人間関係を断たれ、実家からは見放され。高校時代にカリスマ性を秘めていた光景から人生の最底辺に急転直下するどこか二面性のあるヒロインの光景から、主人公のアルバイト先での偶然の再会により近況を知ったことをきっかけに始まった同棲生活で、少しずつヒロインが精神的に追い詰められて不安定な状況から前向きに人生を歩み始めるまでのドラマがとても丁寧に描かれているところが印象的でした。
現実世界でのDV被害に晒された人間のリアルな心境がどのようなものかは知りませんけど、【精神的に追い詰められた人間の考え方】みたいな心の機微を考慮した主人公の接し方や、DV加害者の異常性と感情の起伏の激しくて手に負えないキャラクターがとてもリアルに感じられました。
それらが【主人公とヒロイン】の癒しのような空間と【主人公とDV加害者の元カレ】の地獄のような空間を作る対比になっていて、より同棲ラブコメをしているときの癒しを享受して楽しむことができました。

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