働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

勇者に期待した僕がバカでした

勇者に期待した僕がバカでした (ガガガ文庫)

《あらすじ》
30年ぶりに現れた勇者を前に、魔王軍は大混乱。そいつは次々と奇跡的な愚行を繰り出すダメ勇者。モンスターは勇者を育て、旅を盛り上げ、最後に倒されることこそ本望だ。それが仕事で人間たちとの秘密の決め事。だから魔王軍だって楽じゃない。勇者のバカさを棚にあげ、クレームくれる人間サイドのお偉いさん。どんなイージーな状況も覆すダメ勇者。ポカミスだらけの新入りモンスター。その他いろいろエトセトラ。だけど文句は言ってられない。鳴呼、仕事ってなんだろう…。世知辛い世の中に送る、ファンタジー社畜コメディ爆誕!

ニート勇者のこれまでのバカな奇行の真相が明らかになったとき、無意識のままにミスリードされていた事実に驚かざるをえない。

王道で誰もが知っているファンタジーRPGの世界を題材に、勇者の冒険と魔王軍の戦いがある種のエンタ-テイメントとして成立しているなかで、魔王軍サイドの新人社員のドタバタした仕事風景を描いたコメディ作品。職業ものの世界なだけに、勇者の冒険を陰でサポートする魔王軍ならではの過酷な労働の実態とモンスタークレーマーキチガイな言動の数々に精神をすり減らされることもしばしば。

魔王秘書のエルブランコのもとに配属された新人女性職員ウニベルの行動に伴う責任が監督者のエルブランコに付きまとうなか、社会人としての非常識でぶっ飛んだ奇行にヒヤっとするシーンもチラホラあって、職場が魔王軍なだけに命がいくつあっても足りない緊張感のある労働環境。そんな職場で仕事をこなしていくウニベルが様々な困難に直面していくなかで、新人社会人から徐々に成長して最後には立派に社会人として立ち居振る舞えるまでの過程を楽しめる作品でした。