《あらすじ》
「異能力制限法」により異能力者はすべて社会から管理され、戦う機会が奪われた現代。異能力者の頂点『天上』の指示により、まさかの相手との戦闘を経験した朱雀。これで相棒の小手毬が人間になり、人生を共に歩めると喜ぶが、『天上』の掟がそれを許さなかった。小手毬との幸せな未来を望む朱雀は活路を模索する。しかし、突きつけられた現実は『天上』のトップに君臨する存在と戦い、勝たなければいけないという残酷なものだった―。真の最強になることが唯一の道!?苦悩し続ける異能力リアルアクション最終巻!
“異能力者”と“芸能界”を結び付け、煌霊遣い・冬川朱雀とその相棒・小手毬の半生を描いたこの作品も、滝ヶ峰さんは結婚を機にこれまでに性格がガラッと変わるし、本作の主人公は小手毬を人間にするべく奔走して最終決戦に挑んだり、これまでの長期シリーズを経て積み重ねてきた歴史が全て清算されていくシーンがとても感慨深い。朱雀の同僚や友人をはじめとした多くの人たちとの間に起こった様々ないざこざも、酒の席で禍根を残すことなく綺麗にまとまっていて気持ちが良かったです。
徒花舞花さんにいたっては、おさまるべくして朱雀の嫁の本妻の座についた小手毬の存在に、軽く数回刺されてもいいレベルで噛ませ犬になってましたね。でもあの手のタイプは、もしも朱雀と小手毬の関係が本気で修復不可能な状況になったら容赦なくアプローチを仕掛けて本妻の座におさまろうとするけれど、それ以外は朱雀を全力でサポートしてくれる良キャラクターになるくらい朱雀に好意を抱いていそう。
やっぱりひとつの作品が完結するまで続いた物語は、ひとりのキャラクターにも色々な個性が染みついていくからそれだけに愛着がわいてきますね。いやもう、本当に完結するまでひとりのライトノベルすきとして楽しませてもらえて最高でした。