働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

カンピオーネ! XX

カンピオーネ! XIX 魔王内戦 (集英社スーパーダッシュ文庫)

《あらすじ》
かろうじて一度は『最後の王』ラーマを退けた護堂。だが、ラーマは“盟約の大法”により、カンピオーネが存在する数だけ強さを増し復活する。それを防ぐためにカンピオーネたちが考えた方法は、やはり相当にろくでもないことで……!? 「剣の王」サルバトーレ・ドニ。“黒王子(ブラックプリンス)”アレクサンドル・ガスコイン。ロサンゼルスの守護聖人ジョン・プルートー・スミス。武林の至尊、羅翠蓮(らすいれん)。最凶の老魔王サーシャ・デヤンスタール・ヴォバン。妖しき洞穴の女王アイーシャ夫人。そして日本のカンピオーネ草薙護堂。七人の魔王が東京に集う時、かつてない戦いが幕を開ける! 魔王VS魔王!! 最高に悪魔的で魅惑の魔王内戦が、今始まる!!

物語も最終章に突入して残りわずか。七人のカンピオーネが日本に集結して、最後の王と戦う権利をかけた頂上決戦の開幕。
「そこは全員で足並みをそろえて窮地に挑むべきだ」なんて常識的な判断の埒外にいるのがカンピオーネ。最後の王の能力がカンピオーネの数に比例するなら、『アイーシャ夫人の能力で一時帝に隔離』という奇策も当の夫人の能力が完全な制御下にない点と、カンピオーネの持つ王としての気質から全員が断固として拒否。ならばカンピオーネ全員によるバトルロワイヤルで頂点を決めようじゃないか!!

20巻近くに及ぶロングセラー作品。カンピオーネたちの有する権能の特性や個人の性格までインプットされているだけに、対戦カードの数だけ無限大に熱く激しいバトルが生まれ、全シリーズのなかでも最高の面白さでした。倫理的にカンピオーネ同士の戦いを俯瞰すると、カンピオーネの力の余波にさらされる日本の被害規模が災害の一言で括れるレベルを優に通り越してるけれど、こと“カンピオーネ”の世界だと些細なことで片づけられるから凄い。最後の王との戦いの前に日本が滅亡しそう……

かつて一度は矛を交えてきたカンピオーネが戦いの対象になっているだけに、シリーズを通して幾度となく行使された護堂への教授は、緻密な歴史的背景を経たものから形式的なものへとコンパクトにまとまっていているため、ヒロインが情欲に身を委ねる様をたくさん拝めることができてました。教授の回数を重ねるたびに微妙にシチュエーションの異なるプレイに発展していているのがちょっと面白い。