働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ガーリー・エアフォースVIII

ガーリー・エアフォースVIII (電撃文庫)

《あらすじ》
アンフィジカルレイヤーで目の当たりにした出来事により、ザイの正体とグリペンの理不尽な定めを知った慧。彼女を解放するために、慧はこれ以上の戦いと、世界を救うことを拒否してしまう。そんな中、新ドーターの運用試験を行っていたイギリスのベンベキュラ基地が、ザイの戦略兵器により突如消滅。そしてザイの次なる攻撃目標は―小松!?防戦にあたる独飛の面々だが、慧とグリペンの不在により苦戦を強いられる。はたして慧の取る選択は―?巻末には那覇基地の守護神、バイパーゼロの活躍を描く短編も収録した、美少女×戦闘機ストーリー、グリペンの運命に立ち向かう第8弾!

ザイの正体とグリペンを取り巻く理不尽な世界の真相を明かされたときの慧が襲われた焦燥感。グリペンの定められた運命を知らされ、彼がどんな行動をとるのか。グリペンの運命に立ち向かううえで大きなターニングポイントであり、慧の下した決断が新たな運命を切り開くきっかけにもなりうる、そんなエピソードが詰まった内容でした。

“世界の運命”と“好きな女の子一人を救う”ことを天秤にかける展開は、シリーズを重ねるごとに育っていくグリペンと慧のキャラクターと徐々に形成されていく人間関係がより深まっていくことで「なんで素直にハッピーエンドにたどり着かないんだ!!」と、二人の前に立ちはだかる障壁に憤りを感じさせられる。ただでさえ、アルバイト(通称)に忙しない生活で、慧が学生だという印象も薄くなるくらい年齢相応のの日常が遅れていなく、ザイの被害が頻発する世界で恒久的な安全が担保されないために、平穏なままでいられる日常風景がとても少ない。
慧とグリペンには少しでもいいから、もっと平和な世界で恋愛関係を進展させていってほしいと願いたくもなるくらいに、二人の身を置く世界の残酷さを物語っている。
せめて、短編集でもパラレルワールドでも夢の世界でもいいので、緊急招集が一切かからない環境下で二人のデートなりラブコメなり修羅場なりを楽しませてくれたら、もうそれはこのシリーズを追い続けてきた自分にとっては最高の癒しになりそう。