働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争

15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争 (MF文庫J)

《あらすじ》
「今すぐにここから外に出て、わたしと結婚、したくない?」大手出版販売会社に勤める火野坂賢一(27歳・平社員)は、ある日、初対面の少女に求婚される。怪しすぎる事態にも焦らず、彼は冷静に答え―「わかった。結婚しよう」あれ?俺今なんて言った!?動揺している間に少女・君坂アリサの自宅に連れ込まれた賢一をさらなる衝撃の事実が襲う!「わたし15歳の現役JCだし、法律上結婚できないから大丈夫!」「大丈夫じゃねぇええ!」一方、仕事でも賢一は、カリスマJC・MARIAとの連載企画、企画本を進めていたのだが…?「ワタシはおじさんでも全然恋愛対象だけどね~」2人の15歳に振り回される日々が始まる!?

紀伊国屋書店のご令嬢(JC)と大手出版販売会社の平社員(成人男性)の純愛を、書店を滅ぼそうと画策するAmaz〇nが悪の手先として立ちはだかる勧善懲悪ラブコメですね。現代でも語られる紙書籍を中心とした書店の出版不況を題材に、ネット通販を牛耳るAmazonがあらゆる手段を尽くす姿がえげつない。なまじ出版業界ものを描いた作品も珍しくないライトノベルの世界である程度の予備知識を有していて、なおかつAmazonがもつ元来の『全国の書店に紙書籍を陳列して販売する』方法から、Amazonが在庫を一元管理してネット注文ひとつで自宅まで配送する便利さが地方書店の現象に拍車をかけている側面をキャラクターを通じて訴えかけてくる。
出版業界全体に対する造詣の深さが物語で味わう主人公とヒロインの焦燥感に正比例するので、読み手の感情を大きく揺さぶりにかけてくる素晴らしい作品でした。

出版業界を描いたライトノベルでもあり、最近では『14歳とイラストレーター』や『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』などの年の差の恋愛模様を題材にした作品も徐々に増え始めてきたけれど、『15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争』においては要所で“年の差”を活かした演出も散見されていて良かったです。単刀直入に言えば『15歳の女性は結婚ができない』の部分がデカいです。なにせ、犯罪ですから。
どれだけ健全な交際をしていようが、15歳の女子中学生との恋愛は客観的に見ても法律的に見てもタブーだが、クライマックスまで読み切るとそんな要素を上手く調理して最高にドラマチックなラブコメにまで完成させていて最高に面白かったです。
これは是非ともおすすめしたい作品なので読んでみてください。