《あらすじ》
ただの配達。ゴブリンスレイヤーですら、そう思っていた。
牧場の手伝いで配達に出たゴブリンスレイヤーは牛飼娘とともに、ゴブリンの大群に待ち伏せされる。それは、ある祈らぬ者の策謀だった!
一方、ゴブリンスレイヤー不在の一党は、見習聖女の託宣(ハンドアウト)より、雪山を目指すことに。そこは、氷の魔女の統べる永久(とこしえ)の冬の領域だった!
包囲された雪の廃村で、牛飼娘を守り、孤軍奮闘するゴブリンスレイヤー。彼不在の中、女神官は、ゴブリンではない怪物たちの脅威と対峙し、一党の行動を決断していく――。
「――手は、あります」
女神官が冒険者となってから月日は経ちこれまでの数々の冒険により成長を遂げていく。女神官の冒険と言っても、ゴブリンとかゴブリンとかオークとかゴブリンとか……、ゴブリンスレイヤーとパーティーを組んでいるのでほぼほぼゴブリンしかいないですが、数々の死線を潜り抜け生き延びた実績はあります。ゴブリンスレイヤー曰く金等級クラスのオークを討伐しても「ゴブリンに比べたら楽」らしいです。実質、女神官は金等級クラスの冒険の死線を経験してきたわけです。
なので、ゴブリンスレイヤーに毒されて色濃く影響を受けた女神官が、ゴブリンスレイヤー不在の冒険で「……手は、あります」の一言を発したときは、女神官の成長と変化を実感できる端的なフレーズだなと思いつつ、どんなエグイ作戦を指示するのかとワクワクしました。
女神官も限られた選択肢と戦況から冷静に判断する能力も培われてきているようで、周りが銀等級の熟練冒険者に囲まれているせいで自己評価が限りなく低いですがなかなかの策士でした。
ちょうどアニメ版のゴブリンスレイヤーが放送されている時期もあって、第1話の頃の初心者冒険者の女神官と比べて読むと、改めて成長している様子を実感できてより楽しめました。
ゴブリンスレイヤーの師もチラッと牛飼娘にの目の前に登場して意味深な発言を残していく場面もありましたが、今後の展開はどうなるのか。新刊が楽しみです。