働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ

放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ (ファミ通文庫)

《あらすじ》
母子家庭で育った十七歳の少年真壁静流は、事故で母を亡くし一人途方に暮れていた。そんな彼の元に父親と名乗る人物から「私の娘と三人で一緒に暮らさないか?」と提案され、一ヶ月だけ一緒に住むことに。そして数日後、静流を出迎えたのは、同じ高校に通う人気No.1と呼び声が高い美少女の蓮見紫苑だった!! 医者である父は家に帰ることが少ないため、静流は学園一の美少女との同棲という新しい生活を送ることになり……。

九曜さんの作品はファミ通文庫でのデビュー作『佐伯さん』シリーズの頃からずっと読んでいますけど、等身大のスケールで描かれる日常にひとつまみ程度の特別を混ぜたような作品の世界が個性的に感じて、『作者』レベルで好きなラノベ作家さんの1人です。
主人公である真壁静流が母親を失い途方に暮れていたところ彼を引き取りたいと名乗り出たのは母親の元交際相手でもある男性であり、彼の娘は同じ高校に通い学年を問わず人気のある美少女の蓮見紫苑であって、真壁静流と蓮見紫苑は母親違いの家族関係だという。
まさに青天の霹靂のような出来事だけれど、二人の関係が公になったときのインパクトや事情を聞かれたときのリスクを考えて秘密の関係を築いたまま同じ学校で生活を続けていきます。
それからの日々も、劇的なラブコメイベントが起きることもなく真壁静流の視点で淡々とした日常風景が描かれていきますけれど、その空気感が『少し特殊な生い立ちをもった男子高校生の日常』に『義理の家族になった美少女や同じ高校の先輩たちと何故か親しくしている』要素がというギャップが効いていて、独特な面白さのあるラブコメ作品でとても良かったです。
少なくとも佐伯さんシリーズを読んで面白かったと感じる人は間違いなく楽しめる作品だと思います。逆に佐伯さんシリーズが合わなかった人は十中八九この作品もあわないと思います。好みの別れるタイプだと自分では思います。
しかしながら、ラブコメ好きの自分としては未読の人には是非とも読んでほしい作品なのでオススメしたいです。
読めば読むほど、自分の高校時代の生活と比較して、『これだけ刺激的で波乱に満ち溢れた学校生活を送りたかった』と空虚になるかもしれないけど、そんなものは必要経費です。

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