働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

バレットコード:ファイアウォール

バレットコード:ファイアウォール (電撃文庫)

《あらすじ》
『プロジェクト・ファイアウォール』。
それは戦争の悲劇を防ぐため、青少年に課されることになった『VRによる戦争体験学習』。単なる「ごっこ遊び」の域を出なかったはずのその実習は、ある日唐突に混沌のプログラムと化した。
予定されていない兵士――否、人ですらない「謎の敵」の急襲、そして迫り来る「現実での死」の危険……。
高校のクラスメイトとともに、この異常事態に巻き込まれた少年・古橋優馬は、世界4位の成績を持つ兵士で、『フロストバイター』の異名を持つ少女・雨宮千歳が率いるチームに助けられる。
衝突や悲劇を乗り越え、プロジェクトの真相に迫っていく彼らが最後に見るものとは――!?

VR世界で戦争体験をするだけのはずが、突然ミッションをクリアするまで脱出が不可能な世界へと変貌し、VR世界での死が現実での死へ直結する。残されたのは戦争体験学習を受ける人たちとわずかばかりの兵器だけのなか、謎のモンスターの襲撃を掻い潜り脱出を目指すSFサバイバルアクション作品といった感じです。
VR世界が舞台のため現実世界に存在しない異形のモンスターたちが街中を歩き回り、一歩対応を間違えれば遭遇したが最後全員が皆殺しにあうという最悪のケースも想定されるなか、ギリギリの死線を繰り広げている緊迫した空気感と明日を生き延びるために必死に抗い続けている主人公たちの胸中が凄く生々しく描かれていて、作品の世界観に引き込まれてしまう魅力があって最高でした。

そんなサバイバルアクションを繰り広げている緊迫した雰囲気に癒しを与えるようなのが、この異常事態に巻き込まれた少年・古橋優馬と『フロストバイター』の異名を持ちチームを率いる雨宮千歳が戦場のなかで育む恋愛関係ですね。
チームの前では『多数を救うために少数を切り捨てる』非常な決断を下すリーダーとして振る舞うなか、優馬の前では弱音を吐き本当の姿で言葉を交わすギャップがもともとの整った容姿と相まって最高に魅力的に映ります。戦場で明日には死んでるかもしれない二人が、休息の場のわずかな時間で急速に仲を深め合ってシーンは人間の生存本能のようなものを感じてしまいました。


bookwalker.jp